千年女優

崖の上のポニョの千年女優のレビュー・感想・評価

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)
4.0
海なる母グランマンマーレと元人間の魔法使いフジモトを両親に持つ魚の女の子で、海の外の世界に興味を抱くブリュンヒルデ。目を盗んで訪れた海上で空き瓶にはまっていた所を保育園児の宗介に助けられた彼女が、自分を「ポニョ」と名付けた彼に惹かれて人間へと変身するもそのことで天変地異を招いてしまう様を描いたアニメ映画です。

日本アニメ映画史に残る巨匠で還暦を迎えてからは引退宣言と撤回を繰り返す宮崎駿が、日本映画の興収記録を塗り替えた『千と千尋の神隠し』以来のオリジナルストーリーで制作した2008年公開の作品で、人魚姫をルーツにしつつも起承転結を無視した物語が賛否両論を巻き起こしましたが、当時歴代9位の155億円の興行収入を記録しました。

『となりのトトロ』後で最もファンタジーに回帰した作品で、子どもは誰しもがピュアなのに例外なくつまらない大人になる、ならば子どもだけ残して世界が滅べば、というこじらせきった考えをぶちまけます。思いとどまるも子供に負債を背負わせる様は日本政府のそれですが、子どもが純心のまま大人になる見果てぬ希望を委ねた一作です。
千年女優

千年女優