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リトル・ダンサーのYYamadaのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.1
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
リトル・ダンサー (2000)
◆主人公のポジション
バレエを通じて閉塞感を打破したい
 英国の少年
◆該当する人間感情
 不安、喜び、悲痛、容認、驚嘆

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・イギリスの炭坑町に住む少年ビリーは、偶然目にしたバレエ教室に惹かれ、女の子たちに混じって練習するうち夢中になっていく。めきめき上達する彼に自分の夢を重ね、熱心に指導するウィルキンソン先生。
・しかし大事なお金をバレエに使うことを知った父は激怒し、教室通いを禁じる。先生はビリーにロイヤル・バレエ学校のオーディションを受けさせたい一心で無料の個人レッスンを行うが、オーディションの朝、炭鉱夫の兄トニーがスト中に逮捕される…。

〈見処〉
①僕がバレエ・ダンサーを夢見ては
 いけないの?
・『リトル・ダンサー』(原題: Billy Elliot)は、2000年に製作されたドラマ映画。
・1980年代の炭鉱ストライキで揺れるイギリスの町を舞台に、ダンサーをめざす少年と家族の騒動と絆を描いた本作は、英国ロイヤルコート劇場の芸術監督を経て、ブロードウェイなど100本を超える舞台のほか、英BBCのテレビドラマの製作および演出を手がけてきたスティーブン・ダルドリーの長編映画第1作にあたる。
・主演は、撮影当時13歳のジェイミー・ベル。「イギリス北東部の訛りを持つ、ダンスが得意な少年」の条件を満たす約2,000人の中から選出された。また、世界的バレエダンサーであるアダム・クーパーが、大人となったビリーを演じたことも大きな話題を呼んだ。
・本作は500万ドルという低予算作品であるが、その20倍近い1億ドル超の興行収入を記録。イギリス内外問わず、約50の映画賞で100部門に迫るノミネートを受け、50近い賞を受賞。2005年には、本作に基づいたエルトン・ジョン作曲のミュージカルも製作され、高い評価を受けている。

②映画を彩る英国ロック
・ビリー少年がダンスをするシーンのBGMには、日本でも知名度の高いT Rexやザ・ジャムといった多数の英国出身のアーティストの楽曲が使用され、作品の躍動感を高めている。
・Cosmic Dancer - T Rex
 躍動感あるオープニング
・Get It On - T Rex
 ビリーのランニング・シーン
 日本でも有名な楽曲
・I Love To Boogie - T Rex
 バレエの先生と一緒に踊るシーン
・London Calling - The Clash
 兄トニーが警察と激突するシーン
・I Believe - Stephen Gately
 エンドロール

③結び…本作の見処は?
◎: ビリー少年がバレエを通じて閉塞感を打破したいという思いがひしひしと伝わる作品となっているのは、主演のジェイミー・ベルの躍動感と、炭鉱ストライキで揺れるシリアスな社会情勢のバランスが素晴らしいから。適度なコメディ場面もあるため、重々しくなりすぎないのも良い。
◎: 本作の陰の主役は、炭鉱夫の父。ビリーの合格に、歓喜で街を疾走する場面や、ラストのロイヤルバレエ団による「白鳥の湖」を見つめる涙の眼差しなど、エモーショナルなパートを担っている。親世代の鑑賞者は共感出来るはずだ。
◎: グラムロックやパンクなど、バレエ映画でありながら、劇中曲に多くのUKサウンドを採用。映画史に残るジェイミー・ベルの躍動的なオープニング・シーンなど、作品にリズムを与えている。

④本作から得られる「人生の学び」
・真のやりがいは、どのような環境でも見つけられ、人生に彩りを与えてくれるはず。
・社会格差やLGBTなど、差別・先入観に惑わされるな。
・家族の幸せのためなら、自身の価値観など、どうでもよいものだ。
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