ユーライ

機動警察パトレイバー2 the Movieのユーライのレビュー・感想・評価

5.0
再見。4回目くらいか。我が国に脈々と受け継がれてきた「子供向けのアニメで現実をカリカチュアして描く」話法の限界点。公開から数十年経った今、予言性を超えて普遍的な論と化した。これまで実写映画がついぞ成し得なかった鬼門ポリティカル・サスペンスを、破廉恥な恰好したお姉ちゃんがだっちゃとか言ってる幼稚なアニメを作った連中がモノにしてしまった訳で(当時押井はまだ40代)山本薩夫や佐藤純彌辺りは一体どう思っていたのかね、と興味は尽きない。もうこの時点でジブリとかSFには負けてたんだけど、最大の武器「写実」すらもパクられてしまった。本作の公開日も数ある「日本映画の敗戦記念日」に数えられるだろう(他には『さよならジュピター』とか)。現在に至るまで勝率は悪くなる一方です。一見ガチガチのリアリズムで構築されているように見えるが、俺にはむしろこっ恥ずかしいロマンを隠蔽する為のディティール連打に思えてしょうがない。東京を戦争状態に演出することから、男女の情愛まで。中年の働くオッサンの美化、ひいては漏出するナルシズムなんて正直シラフじゃクサいだけなんだけど、酔うとこれほど気持ちいいものはない!それ込みの味。根津甚八&竹中直人という石井組両雄による繁栄から置き去りにされた負け犬共のジハードは、2年後の『GONIN』で再演されることとなる。それにしても、しのぶさんはどう考えても余貴美子なんだよなぁ……。後藤隊長はパッと思い当たらないんだけどねぇ……。
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