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数に溺れてのshuichiのレビュー・感想・評価

数に溺れて(1988年製作の映画)
4.0
俺が観たピーター・グリーナウェイ作品の中で1番面白かったし、好き。数字に囚われた3世代の女性が夫を溺れさすっていう現実的に考えたらめちゃくちゃ恐ろしい映画。でも、不謹慎が故の笑いというか、逆にコミカルに感じた。舞台が近代なのと画がポップなのもあって好き。感情を動かされたってのもこの映画が1番面白く感じた理由かも。少年の末路が予想外で悲しかった。縄跳び少女に恋しただけやのに。

この映画の凄いところは数字を使ったギミック。劇中で散りばめられた1から100の数字を探すという絵本のような面白さも兼ね備えている。しかも、それが結構難しくて100個全部は見つけられなかったし、数字を抜かしたときの気持ち悪さや見つけたときの気持ちよさは映画では味わったことない新鮮な感覚だった。ちょっと数字が出てこないと数字不足になり、知らない間に体が数字を求めていた。観ているこっちが数に溺れる映画だった。

『プロスペローズの本』、『英国庭園殺人事件』、『数に溺れて』の3本を観て、ピーター・グリーナウェイ作品には、本、絵、数字といった表現方法となる物がテーマに深く関わっていると思った。
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