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エデンの東のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

エデンの東(1954年製作の映画)
4.0
旧約聖書のカインとアベルの物語を下敷きにしたジョン・スタインベックの同名小説を、エリア・カザン監督が映画化。
父と息子の相克の物語で、ジェームズ・ディーン主演の名作。
原題:East of Eden (1954)

1917年、アメリカ合衆国カリフォルニア州サリナス。
農場を経営するアダム(レイモンド・マッセイ)には双子の息子がいる。
父の誕生日に、優等生で父に溺愛されている長男のアロン(リチャード・ダヴァロス)は、恋人アブラ(ジュリー・ハリス)との婚約を発表し歓迎される。
一方、弟ケイレブ(愛称キャル:ジェームズ・ディーン)は、事業に失敗した父の損失分を取り返してあげようと密かに大豆相場で儲けて、そのお金を差し出すが拒否される。
父への愛を受け入れて貰えなくて失望したキャルは、母親は亡くなったと聞かされ聖母マリアのような女性と思い込んでいる兄アロンに、家族を捨て今はモントレーの町はずれでいかがわしい酒場を経営している母ケイト(ジョー・ヴァン・フリート)の本当の姿を見せる…。

「ケイトは悪い女だし、僕も悪い。だから親子だ」

「なるほど、私に似てるね。…憎めない子だよ」

「分からないわ、何が善で何が悪なのか…彼が愛してるのは本当の私じゃないのよ」

「もう、どんな愛もいらない。愛なんて損するだけだ」

「アダムとイヴの子カインは立って弟アベルを殺し、カインは去って、エデンの東ノドの地に住めり」

「愛されないことほどつらいことはありません。愛されないと心がねじけます」

カザン初のカラー作品、初のシネマスコープ作品で、大画面を生かしたカメラワークと映像が登場人物を美しく見せる。
カザン監督は旧約聖書のカインとアベルの物語を現代に移して普遍的なテーマをうまく演出。
本作が映画初出演となるジェームズ・ディーンは、父の愛を求め悩む屈折した青年を、"上目遣い"で、魅力的に演じる。
同じくアクターズ・スタジオ出身のジュリー・ハリスは、父と子を結びつける重要な役柄で、確かな演技力と飾り気のない清純な魅力でキャルの心を代弁する。
ジョー・バン・フリートは、子どもを捨てた母親の微妙な心理を素晴らしい演技と個性で見せてくれる。
唯一、アロン役のリチャード・ダヴァロスが"弱い"。
レナード・ローゼンマンが作曲し、ヴィクター・ヤング楽団との演奏で大ヒットしたテーマ曲は映画史に残る名曲。
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