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拳銃魔のhasseのレビュー・感想・評価

拳銃魔(1949年製作の映画)
3.9
○「僕は君と離れられない。拳銃と銃弾のように」(バート)

拳銃マニアの主人公が、ファム・ファタル的女性と出会い、拳銃の腕を買われてずるずると強盗犯へと身を持ち崩していく話。

後半の強盗&逃亡劇はほぼボニー&クライドで今見ても新鮮味はないし、シーンによっては演出力不足も否めない。(序盤の裁判ではバートのいい子エピソードの回想シーンを愚直に3つもやったり、サーカスのシーンの射撃腕比べは全くドキドキ感がない)

しかし、冒頭の拳銃を盗むシーンの構図や、金を奪って車で逃亡する際のカメラワーク(後部座席から二人のシルエット越しにフロントガラスを映したり、時にはクローズアップしたり)、バートの握りこぶしのアップ等、好きなショットは沢山あったし、破滅に向かって進んでいく愛し合う男女、というテーマは好みなので総じて面白く観れた。

申し訳ないが主演二人に圧倒的に華がなく、特にアニーのファム・ファタル感は薄かったものの、人殺しも躊躇わない冷酷さの一方、バートを本気で愛する温かみというギャップは程よくにじみ出ていた。

女のほうが冷酷で血の気が多く、犯罪に抵抗感がなく、男が哀願して押し留めるという構図は割りと珍しいかも。
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