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駆逐艦ベッドフォード作戦のkissenger800のレビュー・感想・評価

駆逐艦ベッドフォード作戦(1965年製作の映画)
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真面目なデンゼル・ワシントンファンなので彼がバラエティ誌のインタビューで「シドニー・ポワチエと共演する機会が遂になかったのが残念」って語る一節に目を通した翌日すなわち今日、訃報を耳にすることになり、案の定、え? ってなりました。
だって2日前のデンゼルいわく"God bless him. He’s still here. But yeah, I missed that opportunity." (シドニーに神のご加護を。お達者でなによりだけど、うん、本当に共演したかったなー)。

なんなら高名な映画評論家の師匠筋の先生に比較論を書いてもらうという公私混同の依頼をしたこともある。あれ良いテキストだったけど、たぶん単行本未収録じゃないか。なんとかならんか。

シドニー・ポワチエがアカデミー名誉賞を贈られたその日、主演男優賞がデンゼルに行ったんです。ポワチエ以来2人目の、アフリカン・アメリカン俳優の「主演賞」。(なお主演女優賞もハル・ベリー)
デンゼルの受賞スピーチ「いつだって先達の彼の跡を追ってきたのは事実だけど、今日も! まさかの! シドニー受賞のその後!」場内大歓声。
後日のシドニー「デンゼルの受賞で、自分の映画人としての幕をこんなふうにきれいにおろすことができるなんて、望外の喜びだよ」

いかん、映画の話にならねえ。

『クリムゾン・タイド』(1995)との差分が興味深く思えるジャンルながら、作品としてはあくまで『博士の異常な愛情または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964)と同じテーマ。
だからジーン・ハックマンvsみたいな構図がリチャード・ウィドマークvsで描かれる「わけではありません」。
むしろポワチエのアフリカ系属性が一度も言及されないあたりに、制作者の強固な意志を汲むべきで、要するにアフリカン・アメリカンだからではなく「劇場に客を呼べるスターだったから」シドニー・ポワチエが起用されている。

ちなみに、それゆえにa showcase niggerなどとdisられたのがシドニー・ポワチエというひとで、四角四面が煙たがられるデンゼルが切り開いてきた道の前に、常に居たひととして敬意を持たずにはいられない、そんな存在なのです。
ネトフリがシドニー・ポワチエ出演作の配信ゼロって状況には、大き目に鼻を鳴らしたいんですよね。いま見ても面白い作品いっぱいあるのにな(これがそうだとは言っていない)。
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