このレビューはネタバレを含みます
マックィーンが大脱走の前年に主演した戦争映画。
B-17はかなりのシーンで実機を使っているため迫力がある。低空飛行のシーンが最たる例だが、駐機状態や機内も絵になる。戦闘シーンでは記録フィルムの映像を使用しているようだ。この辺だけでもミリタリー面での魅力がある。
特にクライマックスの銃座で迎撃するも被弾してしまい、消火等の対処に追われ脱出に至る場面は非常に緊張感のあるものだった。戦死してしまう役のマイケル・クロフォードや、どうにか立て直そうとするマックィーンの演技もよかった。
純粋な戦争映画というよりは人間ドラマ要素が強い。ボーランドとダフニーの恋愛はシャーリー・アン・フィールドの美貌もあり魅力的ではあるが、実は主役二人の対立を演出するために彼女が存在している部分が大きい。すなわち、人間を愛して戦争から帰還できたボーランドと、最期まで戦争を愛するバズがテーマである。バズの性格は屑そのものだが、それだけで終わらない悲哀があるのも事実。
「死が怖いか?」
「当たり前だ。お前は生きるのが怖いんだろ」
このやりとりが端的にそれを象徴している。