ハバナの街の雰囲気を満喫できたような気がします。
スペイン植民地時代の石と煉瓦でできた南欧風の街並みが、
長い年月、余り手が入れられることなく、朽ちながらも永らえていて、
美しく装飾的でありながら、風化して、小汚く、埃っぽい。
そこに人が混じり込んで都市生活が成り立っているところに、
廃墟フェチというか、ちょっと廃れてるかも知れない街フェチとしては、
グッと来るものがあります。
見ている間は時代設定がよくわからなかったのですが、
後で調べたところでは、80年代のようです。
50年代のキューバ革命により、
アメリカによる半植民地支配からは開放され、
農村出身の主人公でも大学で学べるような環境になった反面、
共産党独裁政権の弊害として、
思想の自由が認められない社会になっているという
問題意識のもとでつくられた作品のようです。
内容的には、
自由な表現を求める芸術家兼ホモセクシャルの青年と、
政治を専攻する(共産主義を学ぶ)大学生兼作家志望の青年の話で、
自由人vs優等生(共産主義下での従順)
オカマvsノンケ
が話の大きな軸になるなのですが、
これに美人できっぷのいい自殺未遂癖のある
セクシーなおばちゃんが絡んできて、
不思議な三角関係になることで、
話がぐんと厚みが出て面白くなっているんですよね。
頭の硬い体育会系共産党員青年もなかなか凛々しくて、
作品を引き締めています。