kuu

Vフォー・ヴェンデッタのkuuのレビュー・感想・評価

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)
3.9
『Vフォー・ヴェンデッタ』
原題V for Vendetta
製作年2006年。上映時間132分。
映倫区分PG12
『ウォッチメン』の人気コミック作家、アラン・ムーアの同名コミックを映画化。米国、英国、独国合作。

17世紀の英国で、国会議事堂を爆破しようとした伝説の革命家ガイ・フォークス。
彼のマスクを付けた謎の人物『V』が、独裁主義国家となった近未来の英国政府の転覆を謀る。

『V』はメチャ強く、教養ありユーモアありで SO FLY 。
『V』はかつて強制収容所で人体実験にあい、特別のDNAが備わった復讐(ヴェンデッタ)ちゅう設定も
SOOOOOO FLY。

ちょうど400年前の1605年10月5日のガイ・フォークス・デー。
アングリカンチャーチ支配に抵抗するカトリック教徒の国会爆破の陰謀で未然に発覚した。
首謀者たちが絞首刑、火あぶり、四つ裂きの刑となった事件に因んで同じ日に国会を爆破し独裁政権を粉砕するというものである。

この作品は、視聴者を過去・現在のあらゆる政治事象を連想させるやろなぁ。
ヒトラー、
SS、
突撃隊、
ユダヤ人強制収容所。
それだけに留まらず、
サッチャー、レーガンの強き保守主義、
プッシュのネオコン、
イラク戦争、
イラクのアルグレイブ収容所とかを想像、妄想の助けを借りると興味が増す。

夜間外出禁止令を破ったイヴィー(ナタリー・ポートマン)は自警団にレイプ寸前危機一髪『V』に救われる。
初めは不安ながらも人生は変わっていき、最後はお互い惹かれての恋物語。
おいおい、なんかこの演出は悪乗りなんか『オペラ座の怪人』やないかい。

かなり自己陶酔の美学『理念は永遠だ。 肉体が朽ちるとも』ちゅう原作者の想いを覗かせてるシーンがあり、圧巻す。
『V』がイヴィーの信念の真意を確かめるために、偽牢獄に入れ丸刈りにし拷問にかける。
そして、『V』の居所を知らせれば釈放すると責める。
イヴィーはそれを拒否、死刑の宣告を受け、その処刑寸前の最後の救いも拒否。嗚呼自己陶~酔ぃ
この作品は、大衆を過小評価した目から、国民をどないにもならへん羊の群れやと捉えてとる。
せや、その善意の羊を与しない限り、 圧政も成り立たないし、
圧制も倒すことができない。
その羊のような大衆に『V』と同じ仮面を着せて10月5日国会への集合へと追い立てる。
『V』のマスクを剥いだ大衆の群れ。
英国議事堂が爆破され花火のように空に雷光が飛び散る。
ヘンデルの『王宮の花火の音楽』を奏でつつ観客が陶酔圧倒される。
伝統ある英国議事堂ちゅう虚構の終焉を観るのか。
ワグナーの神々の黄昏、そして、三島由紀夫の金閣寺が燃える美しさと云う虚構の現実にも通じるものがある。
圧制打倒の民衆の暴力てのは、むしろ自由と民主主義を求める民衆の権利やと、こん作品映画は高々と謳いあげている。
kuu

kuu