鷲尾翼

MIND GAME マインド・ゲームの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

MIND GAME マインド・ゲーム(2004年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#1068

【まとめ】
* 実写×2D×3Dの超次元アニメ!
* 4人の希望が混ざり合うクジラの生活
* 物語が終わらない可能性

2024年最初の映画。

本作で印象的なのが、カオスな映像表現。実写と2Dと3Dをごちゃ混ぜに組み合わせたものだが、それ以上の表現の可能性、創造の可能性を終始感じる。また、本作は『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』などのアニメ作品でお馴染みの湯浅政明監督の長編デビュー作品でもある。唯一無二のタッチで描かれる湯浅ワールドが、本作では大爆発している。

本作は、漫画家を夢見る主人公が、ある日幼馴染のヒロインと運命的な再会をするが、その直後にヤクザに殺されてしまう。死んだ主人公は神様を振り切って殺される寸前にまで生き返る。主人公とヒロイン、ヒロインの姉の3人はヤクザからの逃避行をするが、今度は巨大なクジラに飲み込まれる。クジラの体内には長年住んでいる老人と出会い、4人のクジラの生活が始まる。

主人公たち3人は何度も脱出を試みるが、惨敗。絶望する3人に老人が「現在を楽しむ」という方針を提案し、4人は楽観的にクジラの中の生活を過ごすことになる。この展開から、カオスな映像表現に加えて「人生観」というテーマが生まれ、物語が進むにつれて、その哲学的なテーマが4人それぞれの人生と向き合う奥深いものに変化していく。

本作は、エンドロールが終わっても、終わらない。
それは人生の選択を繰り返し、今日を生きている者にとって、目の前に思い続ける未来は「可能性」だと思う。それはくだらない妄想でもあり、どうしようもない後悔でもある。栄光でもあり、挫折でもある。そんな数多の可能性の中のひとつを見極めるように、生きる。

これが終われない理由だ。
鷲尾翼

鷲尾翼