開明獣

仕立て屋の恋の開明獣のレビュー・感想・評価

仕立て屋の恋(1989年製作の映画)
5.0
開明獣、巨匠に挑戦、の巻🥷

今回は、フランスの現代の名匠、ムシュー・パトリス・ルコント😌

最新作の「メグレ」しか観たことなく、代表作の一つが亜魔腐羅で観れたので早速チャレンジ開始🧐

昔、ある問題を起こして以来、近所で嫌われているスイス人のイール。門脇麦に似ているこの主人公は、仕立て屋として生業を立てているが、実は彼には覗きの性癖があった。

ついこの間観た、ライナー・ヴェルダー・ファスビンダーの「マリア・ブラウンの結婚」を思い出してしまった。真実の愛とはなんだろうか?無償の愛なのだろうか?人は愛されるより、愛することを好むものなのだろうか・・・。愛とは愚かなものだからこそ、一際美しく輝くものなのかもしれない。ルコントの美学に心打たれた一作だった😊

開明獣の知人の会社で、すごく仕事が出来る女性が不倫をしてしまい、相手の奥さんから訴えられたことがあったそうだ。その相手の男は、仕事は出来ないが、かつて学校では運動部のキャプテンだったという触れ込みの爽やか系イケメンだったそうな。その男から、「今の奥さんとは別れるから付き合って欲しい」と言われて関係を持つようになったが、降りかかってきたのは、100万円を超える賠償金請求だった。それでも彼女は、その男を信じると言ったそうだ。ところが、男は他にも複数の女性と関係を結んでいて、奥さんはそれぞれに賠償金を請求していたことが発覚。その金でどうやら夫婦で豪遊していたらしい。詐欺として刑事事件にまで発展し、男は懲戒免職。その女性は心を病んで退職してしまったという。知人は、決してその女性が愚かだとは思わないと言っていた。自分も同感である。騙されても、愛されるより、愛することを望む。それもまた一つの美学であり、愛されなくても愛することを望む。それもまた美学の一つなのかもしれない。

人とは、げにも哀しき生き物かな。ルコントの風変わりながらも優しさに満ちた視線が、作品への哀惜の念をいや増しているようだ😑
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