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エンブリヨのhorahukiのレビュー・感想・評価

エンブリヨ(1976年製作の映画)
3.6
死にたくない…
生きたいの!!

成長を促進する薬を開発したから人間にも使っちゃおうぜ!って思ったマッドサイエンティストな主人公が、流産して死ぬ運命の胎児を貰って投与。不安定ながらも数日で美女に成長し、助手にしてしまうという科学的にも下半身的にも好奇心を満たすクソ野郎を描いた変化球フランケンシュタイン。

皆さんご指摘のとおり、DVDなのにトンデモナイクソ画質で笑った🤣さすがJVD!VHS版とは比較してないけど、マジでそのまんまDVD化したんちゃうかな?それでもめちゃくちゃ有難いんやけどね!おかげでレンタルで見られるし👍

犬で成功したから速攻で人間使って試してみようというマッドっぷりが凄いのだけど、パッと見(というか人柄的に)めちゃ人格者みたいな雰囲気出してるからそのギャップがとてつもない。奥さんを事故で亡くした過去があるから同情の余地もあるのだけど、(多分)気を使って手伝いをしてくれてた奥さんの姉(妹?)に対しての扱いが、若い美女が現れたもんだから「お前もうええわ…」的な態度になっていくクズっぷりが「ああ人間だなぁオスだなぁ」って思ってしまうリアルが笑えて好き!

全体的にチープ(画質のせいかも…)なんだけど、テーマに対して物凄くしっかり描くべきところを描いているし、面白かった。主人公が開発した薬は成長促進だけではなくて、人間の脳をフルパワーで使えるようになるという『ルーシー』的な効用もあるのだけど、段階を追って時間をかけて育まれていく倫理観なり道徳心なりの重要さを訴えかけてくるから、そのあたりもしっかりと作られてるし、ビックリするほどちゃんとしたSFホラーだし、フランケンシュタインになってる。

それでもやっぱり自分の命と他者の命を天秤にかけた時にどちらかを取るかは生物的には彼女の方が絶対に正しいのだろうし、生物的本能を取り繕い覆い隠す倫理観なり道徳心なりがいかに異質なのかってこと、そして本能に従った彼女を見守るキャラクターなり観客なりの思考もまた倫理観や道徳心により生まれてくるものなわけで、結局は反証させてるのも丁寧だなって思う。

そんな感じでちゃんとした映画だと思うので、ちゃんとした画質で再販して欲しいですね😓今年のホラマニのラインナップがマジで貧弱なので、こういうのを加えて欲しいですわ。今年のホラマニはなんで一度Blu-ray化してるやつとか、割りかし鑑賞難易度低いやつで固めてんのかマジで謎…。
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