ヤマト

ウォール街のヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

ウォール街(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 大きなかぶ(株) 】
 確か小学一年生の頃であったと思うが、『大きなかぶ』という国語の勉強をした。要約すると、たとえ抜けそうにない大きなかぶでも、みんなで力を合わせれば抜けるという話だ。実に希望がある話だと思う。実際物語には達成感がある。
 翻って本作は、『大きな株』となる。底知れぬ欲望を持つウォール街のビジネスパーソンたちが、熾烈な株争いをする話である。要は大きな株で大儲けしたいのだ。ただし、大きな株を皆で協力ではなくて、少人数で動かそうとして儲けを目論む不穏な話である。『大きなかぶ』とは異なり、絶望感が漂っていた。最初こそ“おいしい”思いをするのだが、最後は地に堕ちたことは言うまでもない。
 ダーティなことはもちろん、独り占めというのは不幸を招くというシンプルな結論を観た。

 世界のニューヨーク・ウォール街で、野心剥き出しでスーツに身を包む、マイケル・ダグラスとチャーリー・シーンが本当にカッコいい。良くも悪くも野望に睨みをきかせる姿に野生的な何かを感じて、とても惹かれてしまった。成功を目指すにあたっては、ああいう“ギラギラさ”は必要なのだろう。ただしそこにダーティな部分が混ざってはならない。
 特にチャーリー・シーンの喜怒哀楽が本当にリアルで思わずこちらにまで感情が伝染しそうになってしまうくらいだ。マイケル・ダグラスはもはや絶大な安心感がある。
 ザラザラとしたノスタルジイな映像も芸術性高く、あらゆる面から完成度が高い作品であった。あっという間の視聴であった。
ヤマト

ヤマト