Maoryu002

ラインの監視のMaoryu002のレビュー・感想・評価

ラインの監視(1943年製作の映画)
3.5
1940年、ヨーロッパから逃れたドイツ人クルト(ポール・ルーカス)は、子供たちとともに妻サラ(ベティ・デイヴィス)のワシントンの実家にやってくる。しかし、親ナチスの人間にこれまでレジスタンス活動を知られ、また遠い地の同士の危機を知り、ヨーロッパに戻る決意をする。

第二次世界大戦参戦前のアメリカを舞台に、アメリカ人の呑気さと、そこにじわじわと入り込む戦争の影を描く。

冒頭、疲れ切って無口な初老のクルトと、女主人ファニーの豪快さが対照的。
これが終盤にすっかり入れ替わり、クルトは饒舌な活動家の顔を見せ、ファニーは世界の現実を知り大人しくなる。

元々、1941年のリリアン・ヘルマンの戯曲で、公開当時の1943年にはプロパガンダの色が強かったんじゃないだろうか。
そんな背景もあって、ルーマニア人テックの “幸せなことだがアメリカ人に我々は理解できない”、デイヴィッドの “これからが大変だ” というセリフに強いメッセージを感じる。

全体的に、名優ポール・ルーカスとベティ・デイヴィスによる、家族や親子の愛情をも超えた信念が求められた時代を映した、小説的作品に感じた。
Maoryu002

Maoryu002