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真実の行方のYYamadaのレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
4.2
【法廷映画のススメ】
『真実の行方』(1996年)
〈フィクション (シカゴ) 〉

◆法廷の争点
「カトリック大司教殺害の現場にいた若者容疑者」と圧倒的不利な弁護を担う

〈見処〉
①「法廷の駆け引き」+「どんでん返し」
  鑑賞者を困惑させる一級のサスペンス 
・『真実の行方』(原題:「Primal Fear」=「根源的な恐怖」)は1996年に製作された法廷サスペンス映画。
・本作の舞台は現代のシカゴ。カトリック教会の大司教ラシュマンが自宅で刺殺される事件が発生。その直後、大司教の屋敷から血まみれで逃げ去る青年アーロンが逮捕された。
・野心的な弁護士マーティン(リチャード・ギア)は事件の話題性に注目し、アーロンの弁護を無償で申し出る。路頭に迷っていたところを救われミサを手伝っていたというアーロン(エドワード・ノートン)は、何者かが大司教を殺害したのを目撃した直後から記憶が途切れているという。元弟子で恋人でもあったジャネットが担当検事となり、公判が始まる…。
・本作は、1993年に出版されたベストセラーを映像化。法廷内の駆け引きによる高い緊張感と二転三転するストーリーにより、現在も多くの鑑賞者を魅力・困惑させる法廷サスペンスの名作である。

②エドワード・ノートン
・本作で多重人格障害の疑いがある殺人容疑者役を演じ、アカデミー助演男優賞にノミネート、ゴールデングローブ賞 助演男優賞を受賞と華やかな映画デビューを飾った、エドワード・ノートン。
・弁護士の父と教師の母の間に生まれたノートンは、名門イェール大学で天文学・歴史・日本語を学んだ変わり種。著名な都市計画家である祖父ジェームズ・ラウスが関わった「海遊館」プロジェクトでは、日本語通訳として大阪に4ヶ月帯同した経験から、「大阪弁が堪能なハリウッド俳優」の都市伝説を誇る。
・25歳の時に、2000人以上の本作のオーディションに参加。レオナルド・ディカプリオに決まりかけたアーロン役に抜擢されて以来、若手演技派俳優の旗手として、本作、『アメリカンヒストリーX』(1998)、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)にて3度のアカデミー・ノミネートを誇る名優。本作ではその片鱗を垣間見れる。

③結び…本作の見処は?
◎: 言わずもがな圧巻の「二重人格」エドワード・ノートンに加え、ローラ・リニー、フランシス・マクドーマンドの女優陣による高い演技力を堪能したい。
○: 弁護士と検事による駆け引きは、法廷映画の見本。リチャード・ギアが扮する弁護士マーティンの思惑は最後まで見えない。
▲:「驚愕の大どんでん返し」で有名な本作であるが、優秀な弁護士・検事が刑事事件を担当しなかったら成立しなかったのでは?

大ヒットした本作の続編となる小説があるようなので、そちらも映像化を期待したい…が、時既に遅し!?
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