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女の暦のout1のレビュー・感想・評価

女の暦(1954年製作の映画)
4.0
鈍感な可愛い女の子という香川京子の十八番の演技も見れるし、
何より杉葉子が素晴らしい。
同時代のスターと並ぶと二番手、三番手になる女優としての実存とも重なり、
唯一結婚できない女性を見事に演じている。

父権をなぞるように、朝食の前に新聞を読み、社会に憤る杉葉子。

演出としては微塵も感じさせないけど、細川俊夫に対する届かぬ恋を想像してしまって、泣ける。

三好英子が演じるおふく婆さんという、独り身で半分気のふれた年寄りが、杉葉子の未来にも思え、
それを香川京子と杉葉子が二人で笑うのだけど、杉葉子の内面を想像すると苦しくなる。

誰からも気づかれない恋と孤独。
すごい作品だと思う。
女性映画の最高峰と言っても良い。

残念なのは、少しだけ入れられる5人娘の子供時代の回想。
現在から伺える関係性が魅力的だっただけに蛇足だし、リズムが崩されたな。
これがなかったら、もっと最高だった。
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