みゅうちょび

エンゼル・ハートのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

エンゼル・ハート(1987年製作の映画)
3.9
一度スマホで見直して、あれ?こんなんだっけ?って思って、腰を据えて改めて鑑賞し直しました!

公開当時は、衝撃的で過激な演出が物議を醸して色々話題だった!
今観るとよく分かるけど、後の映画に多大な影響を与えてると思われるシーンや映像が満載だったなぁ!

ラスティーでノスタルジックでどこをとっても陰鬱で、空はいつも重苦しく、湿った空気と人間の汗や血、汚物の匂いが映像から溢れていて、本物の牛の血を🩸大量に浴びせられながらの過激なベッドシーンは、そりゃあもうスティーミーでウェットで…つかびっしゃびしゃ💦。

終始流れる重厚で不穏な音楽と曲使いが渋い。

この映画のミッキー・ロークのえもしれぬ色気がもう堪らんです!!多分美しい頃の彼の作品のかでも、彼の魅力を最大限引き出してる作品じゃないかなと。

で、公開当時も話題なった、ロバート・デニーロ。ミッキー・ローク演じるしがない探偵ハリーに人探しを依頼する怪しい男。
綺麗に整えられた長い爪。ゆっくりと皿の上でゆで卵を転がしてから殻を剥くシーンがめっちゃ好き。以後ゆで卵はこの方法で剥いてます!

謎な占い師を演じるシャーロット・ランプリングもこの頃は円熟の魅力!

それと、後半で登場する若い刑事が、後に「アイデンティティー」に登場するプルイット・テイラー・ヴィンスなのもなんだか因果を感じてしまう。

多分オカルトやホラー映画が好きで本作を初めて観る人には序盤でもう結末がある程度予測できるかもしれないけど、落ちを楽しむだけじゃ勿体無い作品。

混沌とした時代背景から、人々が救いを求めて様々な宗教が蔓延してる。おれをロールスロイスに乗せるくらい献金しろーと教壇で信者を煽る神父、生きたままの鶏の首を切って血を体に浴びながら人々が踊り狂うブードゥー教(🐓マジに殺されてます😭)、川で嬉々として洗礼を受ける人々とか、どの場面も皆叫び、泣き、悶えていて宗教感の薄い日本では到底考えられない光景。

神への信仰が強くなれば強くなるほど、存在感を増す悪の力、その力関係を悪を恐れる人間が自分たちで作り出してしまうところが怖いわー。
そこにどっしりと腰を据えて人々の魂を弄ぶ悪魔にとっては、楽しくてしょーがない。

依頼された人探しが進むうちに、彼を付け狙うように起こる猟奇的な殺人事件。
主人公ハリーが辿り着く真実。

フィンチャーの「セブン」て絶対本作の影響受けてるなーと思う。

個人的にめちゃくちゃ謎で気味が悪いのは、最初から最後までハリーの行先に現れる黒装束の女。顔が見えないこの女が何者なのか…

最後に顔が見えるけど、多分あれとそれ以前の姿とは別なんだと思うけど、どうでしょう?
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