あらららららら

死刑弁護人のあららららららのネタバレレビュー・内容・結末

死刑弁護人(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「死刑で当たり前」と思われるような残忍な事件の弁護を数多く手掛ける弁護士への密着。

かつての学生運動に参加し、還暦を迎えてもなお国家権力への批判をし続ける姿は、はっきり言えば典型的な左翼インテリには映る。
彼の論理も被告側の一方的な見方である可能性も感じる。ただ、センセーショナルな事件であればあるほど(まったく当事者ではない)メディア/世論の「死刑への期待」を背景にした警察/検察/裁判官の面目による裁きである向きを喝破し、ときにはそれらの罵詈雑言や陰謀めいた妨害を受けながら、あくまで(あるいは"だからこそ"なのかも)それに抗い、真実はなんなのかを手探る背中には拍手をおくりたくなる。
罪、裁きとはなんなのか、「事実(ときに事実でないものも)」を独特な積み重ね方で鉤括弧付きの「真実」とする司法制度の本質を考えずにはいられない。
踏まえて、この作品もまたメディアが作り上げたモノであることも『さよならテレビ』を経た今思う。

「裁」の字、弁護士資格の剥奪の危機など『ヤクザと憲法』との符号も興味深い。