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肉屋のcyphのレビュー・感想・評価

肉屋(1969年製作の映画)
3.8
シャブロルは人間の悪性を信じてていいな 肉屋と女校長とが恋愛チキンレースをじりじり進めていく一方、その田舎町では凄惨な殺人事件が続いていて…というお話 戦争帰りの肉屋のどことない不気味さに反して、学校まで羊肉のブーケ(花束みたいに包んである最高級のおいしい肉)を持ってきたりチェリーのブランデー漬けを瓶で持ってきてカクテルグラスに注いでくれたり行動がチャーミングなのがおかしくやはり不気味でよかった

小学校の遠足で近所の鍾乳洞(やはり超不気味)へ行ってクロマニョン人の壁画見るのもいいし、鍾乳洞出て崖の隙間に座ってピクニックランチをするのもいい そして取り出されたおやつのパン(ガーリックトースト?)にしたりしたりと血の滴る恐ろしさ!肉屋を疑うべきか?否?の葛藤を抜けて、学校の戸締まりのスリラーからの怒涛のラストまでがちゃんと心臓熱くなってよかった せがまれて捧げる死に際のキッス(ちょうど観たばかりのセーラー服と機関銃のキスと重なる、冷たい唇への接吻) 戦争の傷跡も過去の恋愛の傷跡も、いまを生きるわたしたちの内臓をめちゃくちゃに掻き乱してどこにも去って行ってくれない
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