LalaーMukuーMerry

終わりなき叫びのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

終わりなき叫び(2010年製作の映画)
3.8
このところ、映画大国じゃない国の作品を続けて観ておりますが、これはアフリカ、チャドの作品。国の北半分はサハラ砂漠ですが、南側はチャド湖とそれに注ぐ大きな川があり、サハラの交易の要衝として古くから栄えた歴史ある国。にしても、全レビュー数がたったの9、私が栄えある?10番目とは…

アメリカのあるシンクタンクが毎年発表している「失敗国家ランキング」というのがあるそうですが、チャドはこの10年間トップテンの常連国です。お隣のスーダンの紛争(2004年)の影響で、反政府勢力が活発化し2006年と2008年には首都ンジャメナが攻撃を受ける事態にまでなりました。本作は首都が攻撃を受けることになる直前の、ある父と息子の物語。

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私(55)はこの国の元水泳チャンピオン、その肩書のおかげで高級ホテルのプールの監視員だ。この仕事に誇りを持っている。息子(20)にも同じ仕事の見習いをさせていたが、ある日ホテルの支配人(中国人女性)から、プールの監視員は息子一人にし、私は門番に変わるように言われた。ショックだった。

反乱軍撃退のため政府軍に寄金を払うよう催促があったが、お金はなく渋っていた。そうしたら、金を出すか、息子を兵士に出すかだと言われ、私はやむなく・・・

息子が徴兵されてしばらくしたある日、見知らぬ娘(17)が訪ねてきた。息子の恋人だという。しかもお腹に赤ちゃんがいる。私はいたたまれなくなった。戦場で息子が負傷したという知らせを聞き、なんとしても軍から息子を取り戻そうと決心をした…。

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BGMゼロ、固定カメラの長回しで無言のシーンがずーっと続いて、とても静かに、切ない父親の心情を描いてます。もっと観られても良いと思える作品でした。