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欲望の沼
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『欲望の沼』に投稿された感想・評価

N座1。アメリカ版のBD( Mondo Macabra)。23-117。カルディナーレ祭りを離れ、幽霊ものを見ようと某所のスクリーンにて。

事前情報まったくなし。陰影のはっきりした白黒映画がとらえる麦畑の広がり。若い農婦たち。物陰からみつめる瞳。何処かがおかしいと思えば斜視。目の大きさも違う。俳優生来のものか。コンタクトを入れているのか。見ている方向が違う。それでも明らかなのは見ているのが若い農夫の白い足だということ。

視線の主はアネスティス(A・ブラホス)。農場主の息子だが、この少し頭の回転が遅く、欲望を制御できない。そんな若者の視線が、「恐怖」というタイトルをひきうける。

日本公開は1967年という。ぼくは聞いたことがない作品。しれべてみるとそれらしきポスターが見つかる(これだ:http://www.eiga46.com/?mode=search&pattern=detail&itemid=fyo0056s)。おどろおどろしいB級ホラーの香り。ところが実際に見てみると、むしろスタイリッシュで古典的な構図で、陰影のある照明が手堅い。同時に手持ちカメラを使うモダンな感覚も冴えている。そういう意味ではギリシャで時代の狭間に生まれた作品。

映像だけではない。音がよい。音楽の使い方、ギリシャ風の独特リズムのダンス。動物の鳴き声。シンプルな音が画面の中に交錯する。Diegetic sound と Non diegetic sound が混じり合っている。明らかに意図的。そしてモダン。だから引用される音楽はシューンベルグなのだ。そのハッとさせるような使い方。

音といえば、ギリシャ語のセリフが聞こえまでしばらく時間がかかる。アテネで勉強していたアンナ(E・ナサナエル)が帰ってくるのだが、迎えるのは召使のフリサ(エリー・フォティウ)と交わす言葉はサイン言語。フリサは口が聞けない。

ギリシャ語を聞きながら英語の字幕を追うのがつらかったのだけど、調べてみるとこのフリサという召使は、聖母マリアの姿を見たとらしいというので、村では聖人とみなされているらしい。そんなフリサの部屋を覗き見するのが、冒頭の斜視のアネスティス。アンナの腹違い兄で、父の前妻の息子。アンナは今の妻の娘。

そして一家の主人がいる。この父にして夫は、毎晩娼婦のもとに行き、妻からは家庭内別居状態。この父親が、息子のアネスティスが起こした事件の後始末をすることになる。

事件の起こるのは映画が半分ぐらいのところだろうか。アネスティスのぞきが原因。車のなかでまぐわう男女を覗き見し、井戸のへりでスラリとのびた白い脚を洗うフリサをのぞきみする。のぞきは欲望を掻き立て、掻き立てられた欲望は、納屋の中で動物たちの鳴き声とともに暴走する。

事件を発見するのは義理の母。報告された父は事件を沼に沈めてしまおうとする。なるほど、だから邦題は「欲望の沼」か。この沼のシーンが抜群によい。畑や畑のなかのとおる防風林つきの道のカットなども美しいのだけど、葦の生い茂る浅くて透明な美しい沼は、欲望の帰結を沈める沼であり、アンナがその美しい肢体をゆらめかせる沼でもある。

すさまじいのは、その沼でとれた鯉を食べるシーン。その鯉は聖女/召使の肉をついばんだに違いない。その肉を何事もなかったかのように食べなければならない秘密のテーブル。だが、アネスティスだけは、秘密を飲み込むことに耐えられい。「秘密」が「恐怖」となって口から出てきてしまうのだ。

そんな「恐怖の秘密」が少しだけ見えたきたとき、アンナは男と家を出る。裕福な家にはふつりあいの機械工だが、母も頑固な父も認めざるを得ない。その間にも、恐怖に押しつぶされそうなアネスティスは逃げるしかない。アンナの結婚式。花嫁に笑顔はない。その義理の弟は酒を煽り続ける。両親は「秘密」をそのままにしておきたい。だから、結婚式の踊りを踊ることになる。

まずはアネスティスが踊らなければならない。花嫁の弟なのだ。踊りたくない。けれど踊らなければならない。その踊りのシーンのみごとなこと。ギリシャの変拍子が、執拗に繰り返されるなか、恐怖に取り憑かれた男を中心に、踊りの輪がひろがってゆく。その輪の広がりに共鳴するかのように、沼からは秘密が浮かび上がり、真実が走り出す。

走る真実。踊る恐怖。ますますたかなる音楽がストップモーションによって宙吊りにされるとろでエンドマーク。いはやすごい。傑作。

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