たにたに

悲愁のたにたにのレビュー・感想・評価

悲愁(1979年製作の映画)
3.7
【美しさ】2023年46本目

女性が列車に飛び込み、自死。
多くのファンが参列する葬式会場。彼女は名女優であったのだ。
1人の男が棺の前で立ち止まり、悲しくも懐疑的な表情で親族を睨んでいる。
彼女の死には、何か裏があるようだ。

回想シーンが始まり、"彼女"がまだ生きていた頃に戻る。男はプロデューサーで、表舞台からしばらく姿を消している彼女をスカウトしに来たのだ。
しかし、彼女を取り巻く環境は収監所のようであり、親のエゴによって外部との関わりを断絶されていた。

監禁されているのではないか。。
そうして男は彼女への執着とその環境への違和感を感じ、深く関わっていく中で驚くべき事実を知ることとなる。


美しさというものは、時に自身の心を奪い去る。自分のための美しさが、人のための美しさに変わる時ほど悲惨なものはない。
私自身が私のための私の身体であることを否定してしまう。

二世タレントの芸能界の闇のようなものも感じさせる。自分が自分であることの難しさを感じさせる。
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