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花様年華のRyuのレビュー・感想・評価

花様年華(2000年製作の映画)
3.8
1962年 香港。とあるアパートに2組の夫婦が同じ日に引っ越してきて、隣人となる。それぞれチャウの妻、スーの夫は仕事であまり家にいてなかったのだが、やがて自分たちの夫・妻が不倫していることに気付く。心に傷を負ったチャウとスーは互いに慰め合うように頻繁に会うようになる。2人は互いの配偶者と同じ過ちは犯すまい とプラトニックな関係を続ける。

ウォン・カーウァイが描く大人の恋愛。
相変わらずその演出・映像は唯一無二の魅力があります。今作は一線を越えないプラトニックな恋愛を描いておりますが、ウォン・カーウァイの手によってめちゃくちゃ官能的なものになっています。トニー・レオン、マギー・チャンそれぞれの表情や佇まいも妙な色気ありました。
色彩表現も見事で、全体的に彩度の強い画、それにちょくちょく差し込まれる“赤”が映えます。派手なチャイナドレスの数々も着こなすマギー・チャンの美貌もあってこれまた美しい。
一線は越えないが、やはりダメなことをしている という背徳感があり、それによる葛藤が切なさ募らせます。プラトニックなんですが不倫は不倫なので、観てる側としてもなんだか煮え切らないムズムズした気持ちになります。
今まで観た「恋する惑星」「天使の涙」「ブエノスアイレス」では理解できない部分もあったのですが、今作は感情移入もできた方かな と思います。不倫は反対派ですが、互いに不倫された側から始まっていること、プラトニックな関係を続けたこと があってか、そこまで嫌悪感はなかったです。
物語的に起承転結もはっきりしてないし、恋愛 というものをそこまで直接的には描いていません。しかしここまでの作品にしてしまうのはやはりウォン・カーウァイの手腕ですね。相変わらず 見事 の一言です。
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