垂直落下式サミング

ゴースト・オブ・マーズの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)
3.7
火星は無慈悲な…。
宇宙進出した人類は、火星に植民地を築き天然資源を採掘をしている。そんな未来が舞台。凶悪犯護送のため火星警察隊が鉱山町に到着するが、火星先住民族の亡霊によって殺された住民たちの惨殺死体を発見。生き残った数名の警官と犯罪者達が、協力して悪霊たちと死闘を繰り広げる。
悲惨な事件から生き残った主人公が、審問官の前で自分や仲間の身に何が起こったのか、淡々と語りはじめるところから物語がはじまる。全編が彼女の回想シーンという体で進んでいく。
ことの次第を知るものの口から語られる証言からはじまるのは羅生門スタイルであるが、本作ではこの構造であることそれ事態には特に意味がなくて、物語に推進力を生じさせられていないような気がした。
回想のなかで、他のキャラクターが見聞きしたことを、さらにエピローグで入れ込んでいるのがよくない。回想が重複して、ストーリーの構造が複雑でヘンテコになっていく。
ここで語られていることは、一から十まで主人公の女の主観なのだから、他の人間の視点まで映像として語ってはダメです。羅生門スタイルを取り入れるのなら、もう少し気をつかっていただかないと。
エロSF映画『スピーシーズ』のナターシャ・ヘンストリッジが、凛々しい女性警官を演じており、相当にガタイがいいから、追い詰められてもまったく悲壮がなくて安心。何かに頼らなくても一人で生き残れそう。
その他、共演者たちのB級感にも安心。アイス・キューブと仲間たち。みんな頭悪くて嬉しい。さすがにパム・グリアはお年をめされていたが、彼女とナターシャの百合なら大歓迎。そんで、ステイサムに髪があることで笑える。ブルース・ウィリス先輩を継ぐのはお前だ!
ストーリーにはあまり感心しなかったけど、役者たちの顔立ちの凛々しさや、火星の悪霊にとり憑かれた野蛮人たちのテンションの高さは見物。
首狩り族となった住民達が、ついに敵意をむき出しに武器を持って迫ってくるところは、お祭りはじまる!って感じの高揚感。
学校から家に帰ったら、夕方の五時くらいに遠くから御神輿の掛け声と、爆竹の音が響いてきた!そんなわくわくに近い。こんな日に宿題なんかやってられっか!