揺籠ふぃるす

吸血鬼ドラキュラの揺籠ふぃるすのレビュー・感想・評価

吸血鬼ドラキュラ(1958年製作の映画)
4.1
ハマードラキュラマラソン
第1作/全9作品+番外1作品

ドラキュラ作品においては、一種のサイクルがある。まず恐怖の具現となる傑作が現れ、多くの続編類型作が続き恐怖の下降線を描いて、パロディ・コメディ化によって恐怖はついにゼロで終わる。そしてまた恐怖の具現となる傑作が生まれ…、て『レンフィールド』な感じに言ってみると。

この作品は2、3度目(個々人に任せる)の恐怖の頂点となるべく制作されたと思う。米公開時の題名は『Horror Of Dracula』。その名に恥じぬ気概に満ちた作品だよね。

大胆な脚色(原作既読)、恐怖を煽る音楽。メイキャップや杭打ちなどのショックを与えようとする演出。唯一のゆるキャラ、関所の守衛さんが物語の緊張に緩急を与えて、リー様とカッシン教授の大活劇で幕。そして、灰が余韻を残し風に舞う。

『凸凹フランケンシュタインの巻(1948)』が恐怖のゼロ点だとして、次の頂点を目指そうとした時、もしも『魔人ドラキュラ(1931)』よりゴシックロマンな耽美作品に舵を切ってたら、ドラキュラは、白黒クラシックなそれこそ灰になって終わってたろうと思う。


でも実のところ耽美好きの私はルゴシ派だったりします。
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