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吸血鬼ドラキュラのYYamadaのレビュー・感想・評価

吸血鬼ドラキュラ(1958年製作の映画)
3.5
【ヴァンパイア映画のススメ】
『吸血鬼ドラキュラ 』 (1958)

◆本作のポジショニング
 人類 ←← (捕食) ←← ヴァンパイア

〈見処〉
①「本家」ヴァンパイア映画は、
 ホラー史上屈指の大名作!!
・『吸血鬼ドラキュラ』(アメリカ公開題名: Horror of Dracula)は、1958年のイギリスのハマー・フィルム・プロダクション製作のホラー映画。
・本作の舞台は1885年、ルーマニアのトランシルヴァニア。吸血鬼であるドラキュラ伯爵を退治すべく、ドラキュラ城を訪れたジョナサン・ハーカーは、暗闇の中で襲いかかった伯爵によって命を断たれる。
・ジョナサンの死体と日記を発見した親友の医師ヴァン・ヘルシング博士は、ドラキュラ伯爵がハーカーの婚約者ルーシーを狙っていることを知り、彼女の元を訪れるも、病床にある彼女は既にドラキュラの毒牙に犯されつつあった。
・ヘルシングはルーシーの兄アーサーとともに、ドラキュラとの闘いに挑む決意をする…(Wikipediaより抜粋)。
・本作は、既に1931年にユニヴァーサル映画にて『魔人ドラキュラ』として映画化されていたブラム・ストーカー原作による怪奇小説の古典を、英ハマー・プロが「史上初のカラー版ドラキュラ」として製作。
・エロティックな吸血、存在感ある対決シーンなど、全ホラー屈指の名作と讃えられている「本家ヴァンパイア映画」。大ヒットとなった本作は以降シリーズ化され、最終作「ドラゴンvs7人の吸血鬼」まで全9作が作られている。

②「二大ホラー俳優」の競演
本作でドラキュラ伯爵を演じたクリストファー・リーと、ヴァン・ヘルシング博士に扮したピーター・カッシングは、計22本の映画で共演しているが、2人がドラキュラ&ヴァン・ヘルシングを演じた競演作品は、わずか3作のみ。しかしながら、2人のカップリングがホラー映画最強とされる由縁は本作の成功にある。

◆クリストファー・リー (1922 - 2015)
・193cmの長身のため、長くスタントや脇役が中心だったリーは、ハマー・フィルムの怪奇映画『フランケンシュタインの逆襲』の素顔描写や台詞も無い怪物役にキャスティング。
・続いてハマー・フィルムが制作した本作にて、リーは最大の当たり役「ドラキュラ伯爵」の役を得てスター俳優に。ハマーでは合計7本のドラキュラ映画に出演したあと、1977年より活躍の場をアメリカに移す。
・90代まで一線で活躍したリーの出演作は250本以上にも上り、2000年代以降も『ロード・オブ・ザ・リング』や『スター・ウォーズ』などの大作で遺憾なく存在感を発揮。世界で最も多くの映画に出演した俳優としてギネスブックに記載されたレジェンドである。

◆ピーター・カッシング (1913 - 1994)
・イギリスの人気TVドラマ・スターであったカッシングは、クリストファー・リーと競演した作『フランケンシュタインの逆襲』(1957)にて、怪物を創造した科学者であるフランケンシュタイン男爵を好演。
・続く本作では、ヴァン・ヘルシングを演じ、「狂気の科学者」と「正義の吸血鬼・怪物ハンター」の相反する役柄で存在感を示し「マスター・オブ・ホラー」と称された。
・また、1977年には『スター・ウォーズ』では帝国軍ターキン司令官を演じ、2016年に公開された『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、CGにより、その姿が復活したことは記憶に新しい。

③結び…本作の見処は?
60年前の作品とは思えない、いま見ても色褪せない古典的名作。
◎: 充血した目を大きく見開いたクリストファー・リーの容姿は、後のドラキュラ関連作品に大きなインスパイアを与えた大発明。
○: 原作に忠実なコッポラ監督の『ドラキュラ』(1992)に比べ、娯楽映画として脚色化された本作は、ストーリーがシンプルで鑑賞しやすい構成となっている。
○: 壮大すぎる作中曲により、チャチなセットも格調高く見える。
○: 正義の吸血鬼ハンター、ヴァン・ヘルシングの物怖じしない毅然たる存在感によって、他のホラー作品には見られない、安心感が得られている。
▲: 反面、ヘルシングの存在感によって、ドラキュラ伯爵による恐怖の色が薄まっている。
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