悠

虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜の悠のレビュー・感想・評価

4.2
昔ダムに沈んだはずの村へとタイムスリップした少年がその村で一夏を過ごすことになるという小説原作のファンタジーアニメ。
設定勝ちみたいなあらすじから想像に難くない蛍、カブトムシ、水遊び、祭り、花火、可愛い女の子、優しいばあちゃん家、近所の怖い爺などなど、ノスタルジックな要素がてんこ盛りで最高でした。作画も今時の綺麗どころではなく高畑勲作品を連想させる味のあるタッチで、作品と非常にマッチしていると思います。昭和52年の村が舞台なため今の50代から60代ぐらいが1番ぶっ刺さりそうな内容ですが、僕みたいな90年代生まれの人間も思いっきり感傷に浸りまくることができました。また、ドラマもしっかりと描かれていて、喪失や別れに向き合う子ども達の姿には涙腺をやられます。スマホなどの無機質な文明の発展と共に人間が忘れていった大切なものを思い出させてくれる様な、心の疲れた大人にこそ観てほしい優しい作品です。
ところで、『蟲師』でお馴染み漆原友紀先生の作品に『水域』という漫画がありますが、こちらも夢の中でダムに沈んだはずの村へ行くという内容の非常にノスタルジックで感動的な作品で、内容もさることながら、その村の名前が深山村と言って本作の舞台である深山井村と酷似していて驚きました。また、新海誠監督の『君の名は。』も本作の内容やシーンを一部オマージュしていることで知られています(パクリだと言われて炎上しましたが…)。あまり名前を聞かない本作ですが、影ながら後の様々な作品に影響を与えているのかもしれません。まさに隠れた名作というやつかと思われます。
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