ダイゴロウ

楢山節考のダイゴロウのレビュー・感想・評価

楢山節考(1958年製作の映画)
4.3
因習により、70歳になったら口減らしのために楢山(ならやま)に姥捨て(うばすて)される村を舞台に、69歳の老婆おりんの覚悟とその息子辰平の心の葛藤が描かれる。(古いながらカラー作品。)

何よりも演出が凄すぎる…!
最後の現代(当時)の場面を除いて、全編オールセットとのことであるが、明らかにロケした方が楽であろう自然の風景も見事に再現しており、ある種異常な演出の作品に思われる。
作品として、歌舞伎を鑑賞しているような演出となっており、浄瑠璃と長唄が全編にわたって流れる。
セットならではの場面転換の演出も見事と言う他ない…。
こういう演出の作品は他にもあるのかも知れないが、個人的には初めての鑑賞体験であったため、この凝った演出だけでも十二分に感動してしまった。

内容自体も見応え十分で、特に「姥捨て」を当然のものと受け入れ、寧ろ潔く楢山に向かうことを誇りと捉えている老婆おりんの姿勢が新鮮であった。
(嫌々捨てられるようなイメージを持っていたので)
確かに、古くからの因習であるならば、ある種神聖なものとして捉える老婆の考え方も生まれうるだろうと考えさせられた…。