リオン66

浮き雲のリオン66のレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.0
 愛おしい映画。

 内容は陰惨だ。淡々とどこにでもいるような夫婦に不幸が静かに舞い降りてくる。それを質素に食事をし、しみじみと煙草を吸いながら生き延びていくだけの映画だ。

 ハッキリといって何も無い。でも、大切な何かがある。それは人の生活だ。人の生活がしっかりと描かれている。

 そして、上記した内容なら絵面も悪くなるところを、上手くアキカウリスマキ監督はファンタジーで包み込む。この加減が見事だ。

 アキカウリスマキ監督は社会の中で生きざるおえない人達へ讃歌を送ってくれる。
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