タクマ

変態村のタクマのレビュー・感想・評価

変態村(2004年製作の映画)
3.8
車で各地を周りながら歌を披露する事で生計を立てているマルク。クリスマス間近に次の場所に移動している途中で車が故障してしまう。近隣のペンションに助けを求めたマルクだったが日を追う事にペンションの主人はおかしくなって行き…
初めて見たけどなにこの村?超面白い「笑」一度見たら忘れられんタイトルが物語る様に不気味で生理的に気持ち悪くてそれでいて色んな意味でヘンテコ。パッと身では理解できない部分の方が遥かに多くて見てたらハッキリ言って頭の中の情報処理が追い付かない。
全員がある意味では狂人、別の言い方をすれば純情とも取れる人々の歪んだ愛の標的にされる主人公は気の毒でしかないけどこの映画ってどちらかと言えば主人公の視点じゃなくてその周りの人達の狂いっぷりから物を見た方が美味しくなる映画、一つの愛に執着し過ぎて壊れた人達を通して一方通行な愛情の虚しさと愛を失った人間の悲しさを描いた物語なわけだ。
この人が自分の前から消えてしまったら自分の全てがイカれてしまう、そこまでこの人を愛していると思える人に私はまだまだ巡り会えていない。だからここに出てくるおっさんの気持ちを全て理解できるわけではないが人間って自分が心から大切にしたいと思っている人を失うと簡単に壊れてしまう、その程度なら私にもわかる。
愛と憎しみは常に紙一重であり一歩間違えば狂気の渦の前に我を失い時には目に見えない幻想世界すら生み出してしまう。愛を欲するがあまり抜け出せない虚無感にはまっていく者達の姿をどう捉えるかと言う点では観客各々の愛の定義を問われる物語りかも。「変態」と言う物の根源を通して人間の愛の本質を浮き彫りにする究極の愛の物語だ。同監督の作品はこれが初めてやけどカメラワークの使い方や独創性のある作風も含めて凄く表現力のある監督だと思いました。
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