ryosuke

リオ40度のryosukeのレビュー・感想・評価

リオ40度(1956年製作の映画)
3.6
リオのスラムのむせ返るような熱気と匂いが伝わってくる。空調がイマイチで大入りのアテネフランセの熱気もあったかもしれない。金のやり取りが全てを覆い尽くさざるを得ない貧困が生々しく描かれている。
市場での喧嘩のカット割り(体勢を低くした足払いから始まる喧嘩が二回あったけどブラジルの喧嘩ってこんな感じなんだろうか)、トカゲを追う少年、バスが通り過ぎた後に画面奥で別経路から追いつく少年たちをワンカットで映したショットの躍動感などが印象に残った。
チンピラとピーナッツ少年の追いかけっこにおける、軽やかな省略が生み出すテンポ感も良い。
ただ、やはり人物が多すぎて物語が拡散し、ダレてくる印象は否めなかった。自分が顔の識別が苦手なせいもあるかもしれないけど。
自動車事故とサッカーの試合をクロスカッティングで接続してみたりもするが、纏まっている感じはあまりなかったかな。
散々引っ張ってきた火種は、ストライキの同志だったことが発覚した瞬間に鎮火する。ここまで執拗に描かれてきた貧困描写へのアンサーとなる連帯のメッセージだろうか。
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