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トレーニング デイのkuuのレビュー・感想・評価

トレーニング デイ(2001年製作の映画)
4.0
『トレーニング デイ』
原題 Training Day.
製作年 2001年。上映時間 122分。

血気盛んな新人刑事がベテラン刑事の指導のもとで、予想つかない事態に巻き込まれていく異色の刑事ドラマ。
出演はヴィランをこなすデンゼル・ワシントンと熱血イーサン・ホーク。
新人刑事役には、エミネムにオファーがいってたそうですが、それが叶ってたら、彼はラッパーのスヌープ・ドッグとドクター・ドレーとシーンを共有していたんやろなぁ。
でも結果、個人的にイーサン・ホークでメチャクチャよかった。

監督はアントワーン・フークア。 
ワシントンは本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞したのは納得。
後半ゴロツキに囲まれたデンゼル・ワシントンが放つ
"King Kong ain't got shit on me!"
(キングコングは俺に勝てない)ちゅうセリフは、彼のアドリブだそうです。

ロサンゼルス市警の麻薬取締課に配属となった新人刑事ジェイクは、コンビを組むベテラン刑事アロンソから麻薬捜査のいろはを教え込まれる。
アロンソに憧憬を抱き、手本にしようとするジェイクだったが、ほどなくして犯罪摘発のために躊躇なく法を犯すアロンソの姿を目にする。。。

当時(今は知りませんが)ロサンゼルス市が最大の汚職捜査の渦中にあることはよく知られた事実です。
1997年の『L.A.コンフィデンシャル』は50年代初頭、今作品は半世紀後の21世紀初頭を舞台にしてて、その間、人々は少しも変わっておらず、いつも同じであることが分かる。
大多数の警察官は正直で法律を守っとるやろけど、今作品では、一人の警官がいかに大きなダメージを与えることができるか、そして、曲がった警官はどんな犯罪者よりもたちが悪いということがわかる。
今作品では、荒れくれヴィランの警官を演じるデンゼル・ワシントンの巧みな悪ながらホレボレする見事な演技とともに、鋭いセリフが飛び交うエネルギー溢れる映画を見ることができました。
イーサン・ホーク演じる新米警官のトレーニングの日、オフィスやコーヒー、事務作業ではなく、ワシントンと一緒に一日を過ごすことになる。
観てる側もそれに付き合わされる。
警察の犯罪行為を、悪人を捕まえるために必要なこととして正当化し、この街の法執行機関のトップにまで腐敗が及んでいることを映画で表現している。
両者の出会いの瞬間から、見る者は誰がこのショーを仕切っているのかすぐに理解することができる。
ホークは無邪気で正直、倫理や法律に厳しい純真な警官を演じている。
一方、ワシントンは街の掟を信じている。
犯罪を解決するための両方の主張は、黒人と白人の警官のパートナーシップとその違いという、ほとんど飽き飽きしたものとともに、他の多くの映画で描かれてきたが、この映画は実際にうまくいっている。
ホークは非常に正直で、時には世間知らずやけど、信じられないほど世間知らずではない。
ワシントンは、街をきれいにする方法と『マジの警察』の知識でイカれてる。
だから、見る者は彼の存在を非常に楽しむようになる。
まるで、ワシントン自身が悪役や嫌われ者の役を楽しんでいるようやし。
ワシントンにとって新鮮な役柄やろし、彼の演技を見ているとそうとは思わずにいられない。
犯罪のあり方について、ワシントンとホークが常に意見を交わし合う。
ホークが自分の考えを合理的に説明し、ワシントンが時々とんでもないことを云い出すの。
直ぐに出し抜かれるのがオモロイ。ホークは、自分が訓練を受けているからというだけでなく、この機会に出世して刑事になることを望んでいるのだから、当然譲歩しなければならへん。
訓練はホークにとって試練であるが、映画の終わりには、本当にすべての人にとっての試練となる。
判断力、モラル、理想、価値観のテスト。
云い換えれば、個人としての本当の姿が試される。
そして、トレーニングが終わるころには、ホークと見る者は、自分が本当は何者なのか、それだけを知ることになる。
今作品は、傑出した撮影と編集でストリートライフを見事に表現しており、監督は、その知性とリアルな外観にふさわしい暴力とストリートスマートを備えた映画を作り上げたてました。
残酷なほど正直な作品だし何度見たことか✨。
kuu

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