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プロゴルファー織部金次郎のmatchypotterのレビュー・感想・評価

プロゴルファー織部金次郎(1993年製作の映画)
4.0
ちょっと待って、なんでこれがこんなにレビュー数が少ないの、、、。鉄ちゃん、意外と好き嫌いあるからかな、、、。
20〜25年ぐらい前は金曜ロードショーの常連だったような記憶がある。当時、子供ながらに織部金次郎を応援してた気がする。ゴルフのルールなんかよくわかってなかったのに。

プロとして1勝もできず“ゴミプロ”呼ばわりされ、嫁にも見放され、心が折れて浅草の地場の打ちっぱなしくんだりのレッスンプロまで堕ち、燻った日々を送ることを選んだジョボくれた42歳のおっさん織部金次郎。

しかし、そこには同じくうだつの上がらない地場で燻る連中ばかり。プロの厳しい世界から解き放たれて肩肘張るつもりもなかったのに、彼らからするとゴミプロでもプロはプロ。落ちぶれようが、腕前がどうだろうが、担ぎ始めて、街が活気付く。

そんなちょっとした浅草の人情に触れるうちに、自分の中の後悔が浮き彫りになり、逆に迷い始める。
そんなどうしようもないクヨクヨしたジョボくれたおっさんを地場の人達は暖かく迎え入れ、ちょっとしたことに一喜一憂する地場の人たちの愛に触れ、一念発起する。
その一連の織部金次郎のドタバタ劇が地場のそっちはそっちでジョボくれた夢も希望もない人達に夢と希望と期待を抱かせる。

己と戦うドン臭い織部が、まるで、みんなの夢や希望の星のような存在になる。泥臭過ぎて、今や古臭い庶民のど根性成り上がり一矢報いるスポ根映画だけど、やっぱり何回観ても心が熱くなる。

若かりしはずなのにほとんど今と変わらない阿部寛がいたり、もう可愛くて仕方ない財前直見がいたり、今は亡き大滝秀治さんがいたり、人も見どころ満載。大滝さんのこの義理人情キャラでほんとガッツリ掴まれる。

派手でもなく普通すぎて映画にするほど“映える”ものなんか何一つないし、どこにでもいそうなおっさんとどこにでもいそうな連中のどこにでもあるやりとりから為される奇跡の話。ユーモアとアイデア勝負とバブルっぽい勢いから生まれる感動。

どっちかと言うと、いや、どっちか言わなくてもそっち側の人間なので、普通の馬鹿騒ぎとかしょーもないおっさんたちの勢いで出るしょーもないやりとりにいちいち笑ってしまう。くだらな過ぎて笑える。でも、何かそういうのすら最近少なくなってる気もして、何か懐かしさを感じる映画。

そして、財前直見、好き。
鉄ちゃん、ハンガー、いや、衣紋がけ出すのズルいわ。そっちも観たくなる。
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