チッコーネ

魔の家のチッコーネのレビュー・感想・評価

魔の家(1932年製作の映画)
3.0
ユニバーサル・ホラーの雄であるホエール作品で、ボリス・カーロフが出ているのでモンスター系ホラーかと思っていたのだが「人間が怖い」というクラシック。
女優が演じているため無性的で不気味な爺、監督の厭世観やミソジニーが投影されたかのような中年女、そしてカーロフ演じる発話障害の執事らが登場。
彼らに対峙するのは屋敷への闖入者たちで「嵐の日に助けを求め、たどり着く」という展開は『ロッキー・ホラーショウ』のプロトタイプのよう。
しかし前半は、彼らの放埓無遠慮な描写も多い。
クライマックスは意外な展開、幽閉された狂人と執事のホモセクシュアルな情愛関係が仄めかされており、やっぱり監督作と唸る。
当該キャラが禿げのチビ男でなければ、もっとあからさまに見えたであろう。
1階部分で撮った場面は舞台風だが、廊下や階上、階段部分の場面もあり、屋敷内部の構造が分かりやすく伝わってくる。
嵐吹きすさぶ屋外を再現する場面は、ミニチュアでなく実際の車を使って撮影しており、大量の水を使用したであろう現場の苦労が偲ばれた。