垂直落下式サミング

おばあちゃんの思い出の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

おばあちゃんの思い出(2000年製作の映画)
4.0
のび太が子供のころ愛用していたクマのぬいぐるみを、母親がボロいからって捨ててしまおうとするところから始まり、そのぬいぐるみを縫って直してくれた亡くなったおばあちゃんを一目見たいなあと、のび太とドラえもんがタイムマシンで会いに行くのだけど…。
のび太がひみつ道具を使いこなせなくて失敗してチャンチャンってオチがつく毎週のテレビシリーズが前座噺だとすると、これはガッツリ人情噺。ドラえもんと落語は親和性が高い。前提が居候のはなしであるし、賢い人のやり方をみてたバカが真似をするんだけどうまくいかないみたいな、ご隠居と与太郎の要素もある。
過去にタイムスリップすると、チビのび太が季節はずれなのに花火がほしいとかで、おばあちゃんを町中連れまわしたうえに、癇癪をおこすワガママさで元気いっぱい。これがぶっ刺さる。
ドラは、子供なんだししょうがないよって言うけど、まだおばあちゃんが死なずに生きてたら、同じようにワガママ言ってそうなのび太のことをよく知ってるから、本人が傷付きすぎないようにフォローしてくれる。
だけど、大好きだったおばあちゃんにこんなこと言ってたんだって、こんなのを目の当たりにしたらダメなのび太くんでも精神的に成長するしか道はない。
死んじゃった人を想う。そして悼む。普遍的なすごくいいおはなし。SFの枠のなかで誰にでも共感できることを描いていると思う。
おととし、よく面倒みてくれた母方の祖母が亡くなった。父方の祖父母は小さいころ死んじゃってるからよく知らない。
最近、入退院を繰り返してるおじいちゃんは、だいぶ身体が小さくなって、放射線治療してる。面会もたまの休みに1日一組30分しかできない。ラスイチだから大事にしたい。