きゅうげん

アレックスのきゅうげんのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
4.5
鬼才ギャスパー・ノエの衝撃作。
話題先行のキワモノ映画としての印象強い本作ですが、ノエ監督の映像作品に対する自覚的・本質的・建設的な哲学・思想が端的に体現された意欲作といえるでしょう。
ストーリーはあまりにショッキングかつセンセーショナルですが、しかしその内容は必要最低限。逆再生という試み、縦横無尽な撮影、即興劇的な演技など、監督が映像表現そのものの力をいかに信頼してるかを物語るものと解せます。
それでいて、モニカ・ベルッチの逆伏線とでもいうべきセリフの数々や、汚い裸にはじまり爽やかな裸におわるという構図など、しっかりと悪趣味だったり残酷だったり皮肉だったりする突き放した趣向も、その中に落とし込んでいるのがニクいところ。


アレックスの元カレでありマルキュスの親友でもあるピエール、良識と良心がありながら大バイオレンスの張本人になっちゃうの、やるせなくってホントいいキャラクターしてますねぇ。
地下鉄でのSEX問答が、一番くだらなくて大好きです。