西田千夏

旅するジーンズと16歳の夏の西田千夏のレビュー・感想・評価

旅するジーンズと16歳の夏(2005年製作の映画)
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【2022-314本目】



ノートを回していくのが現実でも、物語でもそれが主流だけど、本作はタイトルにもあるように「ジーンズ」を友人同士で回していくという話。


人生で一度は行きたいと夢見るサントリーニ島が出てきたので、一回一回、「自分がサントリーニ島に行ったら」ってことを考えながら見てた。笑

高知県(https://www.villa-santorini.com/)にもあるから、お金と時間をかけてギリシャまで行かなくてもいいのかもしれないけど、でも行くなら本場がいいよな〜。


悩みや葛藤も増えてくる思春期。
ずっと一緒にいた友達と離れて生活することで、これまで見えてこなかったものが見えたり、自分自身向き合ったりする。

何が正解か分からない選択に悩みながらも、とにかくジーンズを履いて頑張る姿には何か刺激を受けます。


大学の課題でも出たので、一応、自分がどんな解釈をしてたかも併せて投稿しておく。


 映画『旅するジーンズと16歳の夏』に登場するベイリーについて考察する。彼女を選んだ理由は、登場人物の中で最も肝心な部分が映像として映されなかったもう1人の主役だからである。
 この作品では、冒頭から主要人物であるカーメン、リーナ、ブリジット、ディビーの4人の出会いから始まり、ジーンズを履く1週間の間に起きたことを報告する様子が描かれている。
 しかし、中盤で登場する12歳の少女・ベイリーは、ディビーの働くお店で倒れている様子を発見された後、2人が近所であることを知る。その後、ベイリーは、ディビーが製作するドキュメンタリー映像の「助手になりたい」と彼女に申し出るが、ディビーはベイリーの申し出を断った。断られても尚、ディビーに付き纏い、映像について意見を言ったり、ディビーの部屋にあったジーンズに興味を示して試着したりして距離感を埋めていこうとする。
 ある日、ディビーはベイリーが白血病を患っていて、余命が幾許もないということを知る。これを知ってディビーは、ベイリーに対しての接し方に戸惑い始めるが、ベイリーは白血病を含んだ本音を打ち明けたつつも、普段と変わらない態度で接した。
 主要人物やジーンズを回している相手がベイリーではないため、当然ながら、彼女の闘病生活や彼女が息を引き取る寸前などは描かれておらず、回想シーンも用いられていない。
 このことから、ベイリーが闘ったり向き合おうとしているものは、「白血病(病気)」ではなく、「出会い(過去)」であると考察できる。
 確かに、ベイリーは呼吸器や体に装置などを着けられたり、病院のベッドで生活する様子が描かれているが、映像では彼女が病気を患ったキッカケや闘病生活や彼女が息を引き取る寸前の様子は映されていない。
 また、余命が僅かであることはベイリー自身も自覚をしている。そのため、ディビーがベイリーの病室にジーンズを持って来て、渡した時もディビーは病状に対する奇跡を祈るが、ベイリーは「ディビーと出会えたことが奇跡である」と、奇跡の可能性が「白血病の回復」という未来ではなく、「私たちが出会えた過去」であると置き換えた。
 また、本作の邦題にもなっている「旅するジーンズ」は、カーメン、リーナ、ブリジット、ディビーの4人ではなく、ベイリーのことを指しているとも捉えられる。
 「旅するジーンズ」。つまり、彼女ら4人が夏休みの間、それぞれが活動する場所で履いたジーンズを最後に受け取った相手は、ベイリーであった。
 しかし、ベイリーがジーンズを受け取った後、どこにも外出できずに天国へと逝ってしまった。このことから、ベイリーの場合は、天国での旅や4人が各地で履いたものを冒険するかのように受け取るという解釈ができる。
 4人が各地で履き、それぞれの思いが詰まったジーンズを最後に受け取り、天国まで持っていった「旅するジーンズ」は、ベイリーのことであり、「16歳」の部分はカーメン、リーナ、ブリジット、ディビーらの4人であると言える。
 つまり、『旅するジーンズと16歳』ではなく、「ベイリーとカーメン、リーナ、ブリジット、ディビー」という作品としても見ることができる。




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