きまぐれ熊

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンドのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

4.0
うーん、面白かったんだけど情報量が多すぎる
本来ならドラマシリーズとしてじっくりやるべきレベルのプロット量
今作でついて行けなくなった人多いんじゃないか
めちゃくちゃ見返して凄い時間掛かった

ただ各キャラクターの思惑と行動を丁寧に追って行けば、非常に良くできたジグソーパズル
ストーリー自体はかなり良くできている

本シリーズのジャンルなんだけど
史実をベースに、都市伝説を起源とした少しふしぎ系呪いのアイテムがキーになる「オカルトあり海賊映画」を観ていたと思ったら、
いつのまにか根本の理自体が現実と全く違う「ファンタジー世界」だった、
ってのも人を選ぶ要因だと思う

で、2作目からがっつりファンタジー世界に舵を切った原因がなんなのか考えると、デイヴィジョーンズとティアダルマなんだよな
人間の生死に関わるファンタジー要素はこの2人から発生したものであって、他のキャラクターはそこに群がってきている有象無象に過ぎないって構造
てっきりジャックを軸にした連作だと思ってたんだけど、デイヴィジョーンズとティアダルマの物語という視点で見たほうが大枠の展開が大幅にわかりやすくなる

2人を軸に見てくと、ラストのウィルとエリザベスで綺麗に対比されていた事が分かるので収まりの良さが実感できる
海賊映画なんだから諦めが悪くて欲張りな方が勝つのは当然だよなぁ?
とでも言いたげな、結婚式のシーンがその精神性を堂々と表明している様で気持ち良かったな

裏切りのピタゴラスイッチを描きつつ、綺麗に締めて、かつユーモアを忘れないという意味ではいい映画だったな
でも読解力を試されるのでキャラものとして軽い気持ちで見ちゃうと難解さにだまし討ちを食らう罠映画

あとは評議会関連が問題点満載
システムとか、バルボッサとジャックの関係とか幾ら何でも説明しなさすぎ
バルボッサとジャックがそれぞれ海賊長としてカウントされてるという時系列的に無茶な設定を各自補完しろというのは無理筋だよ
wikiを読み漁って初めて、バルボッサが過去に自分の船を持ってたの知ったわ
タダでさえ謎アイテムで海賊長を決めてるファジーなシステムなのに情報伏せすぎっす
それにティーグがジャックの父親って英語版じゃ分からなくない?youとしか言ってないんだが
評議会だけじゃなくてベケット卿とジャックの関係性もそうなんだけど、匂わせだけで映画じゃ絶対推測できない設定が多すぎるのよね

とは言いつつ、全体的には推しのバルボッサがあます所なく活躍してたので満足っす
出演時間だけで言えば完全に主役だったな
ウィルとエリザベスの物語が閉じて、次作以降はバルボッサとジャックのチキチキレースがまだまだ続くって感じか〜
きまぐれ熊

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