たけちゃん

大列車作戦のたけちゃんのレビュー・感想・評価

大列車作戦(1964年製作の映画)
4.2
ケガ人はいない。死人だけさ!


ジョン・フランケンハイマー監督 1964年製作
主演バート・ランカスター


シリーズ「名作映画で振り返る第二次世界大戦」
いよいよ本格的にスタートします!

2年前に「娯楽映画で振り返る第二次世界大戦」をレビューした時は、「ダンケルク」の公開に向けて第二次世界大戦の、特に西部戦線にポイントをおいてレビューしました。そのため、作品としては、連合軍とドイツ軍の攻防を主に選んだので、東部戦線の独ソ戦は取り上げませんでした。

今回は「ひまわり」スタートということもあり、名作映画という括りもありますが、東部戦線の作品が多く選ばれています。娯楽作が少ないのは、悲惨な戦いが多いからでしょうかね……。でも、これにより、第二次世界大戦の全貌が顕になるのではないでしょうか←フロシキヒロゲスギ
以下に今回のラインナップも上げておきます。

【名作映画で振り返る第二次世界大戦】
1. ひまわり 7.19
2. ワルキューレ 7.31
3. この世界の片隅に 8.06
4. 大列車作戦 ←今回
5. 戦場のピアニスト
6. 聖なる嘘つき/その名はジェイコブ
7. シンドラーのリスト
8. 禁じられた遊び
9. 戦争のはらわた
10. 山河遥かなり
11. ライフ・イズ・ビューティフル
12. カサブランカ

こんな感じで考えています。
僕も初めて観る作品が数作あるので、個人的にも楽しみです。
レビュー順は気分で変わるかもしれませんが、お盆休暇を使って観ていこうと思いますので、お付き合いください。




さて、映画です。

実は、この映画をずっと探していたんです。
子供の頃にテレビのロードショーで見たんですが、なんの映画だかタイトルも覚えていなくて。
ただ、列車が駅を通過する時に駅名を変えるシーンがあるんです。それがすごくハラハラしたのを覚えていて、もう一度観たいなぁってずっと思っていたんですよね。
近くのレンタル店に無くてね。
とうとう見つけました。
「大列車作戦」、今作でした!
原題はストレートに「The Train」


いやぁ、めちゃめちゃ面白かった。
でも、今作、131分もあったんですね。
昔見たのはテレビのロードショーだったんで、かなりカットされていたと思います。まぁ、だから、子供でも耐えられたか( ¯−¯ )フッ


主演はバート・ランカスター、鉄道員でフランスのレジスタンス、ポール・ラビッシュ役。
50代で撮ったので、キャリア後半ですよね。
渋いキャラでとても良かった。
特に、後半、残る1人になってから。
鉄道マンらしいゲリラ戦に痺れました。


1944年パリ
ジュ・ド・ポーム美術館
ナチス支配下、美術品が集められている

ルノアール
ピカソ
セザンヌ
ゴッホ
ゴーギャン
マチス
モネ、etc.....

国の誇る美術品の数々
しかし、連合軍の侵攻が迫る
そこで、ドイツ将校のワイドハイム大佐は、それら美術品を本国ドイツへ移送しようと考える。
美術員は国の宝を守るため、何とかそれを阻止して欲しいとレジスタンスに持ちかけるが……
というストーリー。
今作は、この美術品というのがポイントです。

絵心が無くて、自分では描けませんが、見るのは好きなんですよね~。好みは印象派で、セザンヌの静物画が好きでした~。



始まりはベア操車場。
爆撃シーンは迫力がありましたね。

少し昔話になりますが……←オナジミネ
僕の死んだ父は国鉄マンで、運転手でした。
退職まで無事故が自慢でしたわ。
国鉄民営化でもそのままJRに残り、早期退職するまでは運転指導員でした。

そのため、子供の頃は、よく旭川機関区に遊びに行ったものです。機関区って、列車の基地でした。この映画での操車場です。
旭川は列車の始発駅であると同時に終着駅でしたので、たくさんの列車が点検や整備のために集まりました。
乗務員もそこで宿泊することがありましたので、設備も充実。特に、大きな浴場施設があり、時々、父に連れられて入りに行きましたよ。でっかい風呂が嬉しかったなぁ。

また、時々、車庫で蒸気機関車に触らせてもらえました。今では考えられないですが、運転席で、あの石炭をくべたこともありますよ。凄い社会見学( ˘ ˘ )ウンウン


なので、操車場でのシーンが記憶の琴線に触れてしまう。
鉄道マンにシンパシーが湧いてしまうのよね。
鉄道マンたちが国のために力を合わせて、ナチスに一泡喰わせる。命をかけて……( ᵕ_ᵕ̩̩ )
彼らがドイツに送られる美術品を守るため、決死のトリックを仕掛けるんですよね。
ルートは以下の通り。

ベア操車場→リブレイン→モンミレーユ→シャロン→ベルダン→メス→レミリー(ポンタムッソン)→セントアボルド(コマシー)→ツワイブリュッケン(ビトリー)→リブレイン

括弧内が本当の街。これが実際、戦時下で出来るとは思わないけど、実話に基づいてるんですって。こんなストーリー、大好きです( ˘ ˘ )ウンウン



ドイツ軍のフォン・ワイドハイム大佐を演じるのは、ポール・スコフィールド。この映画の次作「わが命つきるとも」でアカデミー賞主演男優賞を取ったそうですね。観たことないので、いつか手にしたいです(^-^)


ドイツ将校のヘーレン少佐は、素晴らしい役でしたね~。敵ながら切れ者で、アッパレ。演じるのはヴォルフガング・プライス。好きな俳優になりました!
「史上最大の作戦」や「パリは燃えているか」などでのドイツ将校役で評価が高いようです。「パリは燃えているか」は観たいなぁ。


おや、ジャンヌ・モローも出ていたんですね。
出演は短いですが、印象的でした( ˘ ˘ )ウンウン



ラストが本当に切ない。
名画は国の財産では有るけど、人名以上に貴重なものは無い。でも、当時は、人名が本当に蔑ろにされていた時代。
戦争の不条理がしっかりと描かれた名作映画でした。
しかも、アクションも良くて、サスペンスフル。
おすすめです( •̀ω•́ )و✧