三樹夫

大列車作戦の三樹夫のレビュー・感想・評価

大列車作戦(1964年製作の映画)
3.9
ナチス占領時のフランスで、そろそろ戦争の状況がヤバくなってきたということで絵画好きのナチスのおっさんがピカソやゴッホの名画をフランスから本国ドイツへ機関車で輸送しようと計画する。そこに、させねぇよとフランス国鉄の特に絵画とかには興味がないおっさんがレジスタンスとなってあの手この手で輸送を妨害をするというフランケンハイマーの骨太列車アクション大作映画。
この映画は頭おかしいぐらい火薬仕込んで爆発させたり、機関車を脱線させそこにまた機関車ブチ込むなどやってることは戦争と変わらん。映画内では絵画、つまりピクチャーをめぐって男たちが命がけで頑張っているが、それはこの映画(ピクチャー)を命がけで作っているフランケンハイマーも同じだ。映画内でも外でもピクチャーのために命をかける人たちの話となっている。

前へ前へと進む機関車がそのまま物語の進展と符合し、もの凄いダイナミズムが生まれている。どう考えても半端じゃない金がかかっており、ナチスとレジスタンスとの攻防がとにかくド派手で面白い上に、知能戦へともつれ込むなど面白いやつが全部入ってる。
ナチスの絵画大好きなおっさんとレジスタンスの特に絵画に興味がないおっさんの絵画をめぐる対決というコントラストが効いていて良い。レジスタンス側に大量に犠牲者が出ることで、レジスタンスのおっさんも最初は人の命よりも絵画の方が大事なのかとか言っていたのに訳分かんないことになっちゃって絶対に輸送を妨害していやると異常なまでに作戦の成功に固執しだし、ナチスのおっさんも幾度となく輸送を妨害されたことで訳分かんないことになって、最終的に絵画はほっぽり出して、レジスタンスのおっさんとナチスのおっさんがお互いの執念をぶつけ合いだす、もはや狂気の世界。何やってるんだこいつらという、ピクチャー(絵画、映画)は人を狂わす。
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