きまぐれ熊

サイレントヒルのきまぐれ熊のネタバレレビュー・内容・結末

サイレントヒル(2006年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

リベレーションを観るので復習。

クリーチャーのデザインの再現度が秀逸。
生理的嫌悪感と肉体的な美が共存してるクリーチャーが芸術的。
生理的嫌悪感から来る恐怖は原作からある魅力だったけど、人体の美しさがプラスされてるのは映画の功績だと思う。
ブヨブヨしたタイツスーツや特殊メイクの力も凄いけど、本作だと何より「振り付け」が存在してるのがデカいんだと思う。

アクターはスーツの中から外が見えないので、リズムに合わせて動きを当て振りしているシーンがメイキングであったけど、かなり厳密に動きを決めているっぽい。
そのおかげで一挙手一投足の精度が高く繰り返して観ても説得力のある動きになってる。パペットナースのシーンなんてダンスみたいな音ハメの心地よさ。

あとリドル要素や、クリーチャーの特性を理解して探索を進める攻略のような要素もあってゲームの実写化としてのリスペクト度が高い。
設定はデカい変更点もあるけど破綻してない。捨てるところと再現するところのセンスがうまい。

ゲームからのデカい変更点は2つ。
サイレントヒルがセントラリアをモチーフにしている点。もう1つがシャロンとアレッサの顛末。

細かいとこだと表世界から裏世界への移行時にSIRENが鳴るとか、主人公が父親ハリーから母ローズにチェンジとか。
主人公が変わったおかげで原作ファンでも新鮮に楽しめる。

炭鉱火災を起こしたゴーストタウン・セントラリアのイメージを下敷きにしたのは「実は全員死んでる」って事に説得力を持たせるためかな。地獄の釜とか表現される程の光景なので、真っ赤な炎は本能的な恐怖を想起させるにも一役買ってるし、青い霧とのコントラストが綺麗で見事なチョイス。

あとアレッサの設定。
シャロン(原作はシェリル)とアレッサが、元は同じ魂であり分かれてた2人が同化するってとこまでは一緒なんだけど、
ゲームでは、「もうダメそうだから生まれ変わったらあと頼むわ」って感じで力を振り絞って生み出した赤子の転生体をハリーに託してアレッサは力尽きる(これが3主人公のヘザー)。
これに対して、映画の方だとほとんどアレッサに吸収されたようなイメージ。実の母(ダリア)が使えねーから新しいママ(ローズ)に付いてくわって事になってる。
ママさえいればオッケーなので父親を排除してる。だからサイレントヒルの表世界からは出られませんでしたオチ。

ホラー的には映画版のオチの方がマッチしてるんだけど、続編を意識してないオチだから、どうやって繋げるのかな〜
テーマ的には厳しそうだけどアレッサが続投主人公ってことだよね
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