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港の日本娘のmのネタバレレビュー・内容・結末

港の日本娘(1933年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

風景を中心とした開放感に満ち溢れる画面が、次第にその輝きを失って行く感覚を受けた。二人の女学生はセーラー服を身に纏い、出航する船と並走するように帰り道を共にする。「有難う(メルシー)」にクスっとしているうちに、男はバイクで颯爽と現れてしまうのだ。1930年代の横浜が舞台であり、所謂「松竹モダニズム」に括られる作品だと思うのだが、同時代の五所や小津と並べてみたときに、アメリカ文化への接触の仕方が異なることが何となく理解できる。某戦場カメラマンみたいな風貌をしたヒモの画家を演じるのが斎藤達雄であると気付くのに時間を要した、スラリとした立ち姿なんだな。教会での寄り寄りショットが反復される瞬間や、床を這う毛玉にはハッとさせられたが、やはりこの作品の魅力は屋外だと感じる。もちろん中盤における文字通り窮屈な屋内と物語があるからこそ、ラストで風に靡く紙テープにイメージ以上の開放感を得られる。
「雨降って地固まるだわよ」
「だわよ」はちょっと意味がわからない。
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