滝和也

絶壁の彼方にの滝和也のレビュー・感想・評価

絶壁の彼方に(1950年製作の映画)
4.0
見事なシナリオと
国家犯罪のスケール
の大きさによる恐怖が
サスペンス性を
高めた隠れた傑作!
架空の国ボスニア
を巡る決死の逃亡劇!
2200本レビュー記念!

「絶壁の彼方に」

シドニー・ギリアット監督による英国製冒険活劇サスペンス。中々見ない監督さんだけど聞き覚えが…あ、ヒッチコックのバルカン超特急の脚本家だと。そんな事を見たのが確か30年前…(笑)ようやく出会えました。隠れた傑作に。

ヒッチコックを筆頭に英国製のサスペンスは上品なミステリーからハラハラ・ドキドキする様な冒険譚までクラシック分野ではかなり面白くて、私は好きなんです。そのなかでもこれは隠れた傑作として長らく探していた逸品です。ようやくある10本組みの一本にそれを見つけまして…。噂に違わぬ良作でした。

軍事独裁国家ボスニアに研究成果を表彰したいと招かれた米国人医師マーロウ。大統領選挙の最中だったが、当然ながらニバ将軍以外の候補者はなかった。マーロウは公開手術を依頼され快く受けるが…手術中に患者がすり替わっている事に気づく…その、人物はニバ将軍だった。独裁者の病気という国家機密を知ったマーロウは幽閉され…しかも将軍は…。マーロウの決死の逃亡劇が開始される…。

所謂、海外で全く言葉も通じない場所で謂われのない罪に問われ、決死の逃亡劇を繰り広げるというストーリーなのだが…これを聞いて日本で最近このパターンから始まったドラマがあった事に気づく方も多いでしょう(^_^)

はい、ビバンですね(笑)逃亡者、逃走劇って基本的におもしろいんですよね。間一髪で追跡を頭脳や偶然でかわし逃げるのはやはり面白い。ビバンと違って公安刑事やドラムは出ませんが…二階堂ふみさんポジは出てきます。ヒロイン登場で初めて英語が通じてホッとしますが、声が…(笑)なんか、アニメ声でイマイチ。でもいないと会話もなくなるので…。

そう、この話、現在あるボスニアではなくて、架空の国。しかも言葉を脚本で作ってるんです。しかもそれに翻訳は一回も出ない。故に主人公と、同じ思いをさせられる。日本人は海外でマイナーな土地に行ったら絶対こうなる。だから話せる相手ができるだけ、ホッとしますね。

このストーリー、実はなんか、捕まってる所から回想でスタートするんですが…ここは賛否両論かなとは、思います。先が読めるとか…でもそれを忘れるほど、ピンチ連続で盛り上がるのが凄いわけで。ラスト付近の山越えルートによる脱出行はかなり危険だし…ハラハラします。更に…あのオチも中々シュール。ガンガンに追ってくるチンギスみたいな奴がいますが…こいつのラストもシュールですし。

ヒッチコックの脚本を書いた方だけに、その国際性やスケールの大きさ、それに対比されるような細かな仕掛けまできっちり手が入っていてたのしい作品です。オススメのクラシック作品ですね(^_^)
滝和也

滝和也