140字プロレス鶴見辰吾ジラ

怪獣大戦争の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

怪獣大戦争(1965年製作の映画)
3.8
【ニック“色男”アダムス/家屋倒壊美術展】

キューブリックの「2001年宇宙の旅」より前に
さらに遥か木星の裏側で宇宙人にコンタクト。
それって、もしや?「マーズ・アタック」?

「サンダーバード」的なロケットのギミックと当時では工夫を凝らした宇宙の旅を日本特撮が描き、今で言うならコント番組のインチキ宇宙人と遭遇するトンデモ映画感があるのだが、SFロマンはオカルトイズムを乗せて、キングギドラを飛来させる。前作の「三大怪獣、地球最大の決戦」からフェイズ2へ移行したゴジラ流アベンジャーズは、怪獣大決戦の骨格を太く固め、その中でSF交りの日本のアクション&ロマンスを内在している。ニック・アダムスがちょうど良い色男感を醸し出しながら、冴えない発明家が人類のキーマンになるロマンすら入っている。

何より前作以上に骨太になったのはゴジラ、ラドン、キングギドラによる破壊描写に他ならない。前半は宇宙空間での戦闘になるわけだが、クライマックスの大暴れ&大破壊シーンは、まさにゴジラ流アベンジャーズと言えるゴジラ、ラドン、キングギドラの固有の魅力を凝縮した日本家屋の破壊、都市の破壊、そして戦車部隊との対峙のシークエンスが抜群に格好良い。

日本映画における「怪獣大破壊ロマン/アクション&ロマンス」を最高級のバランスで仕上げた、景気の良い大仰な嘘である。