本日6月22日でビリー・ワイルダー生誕110周年!
推理小説家レイモンド・チャンドラーとの共同脚本によって製作されたビリー・ワイルダー初期の代表作。
チャンドラー持ち前のサンペンス構成力とその作風はワイルダーに多大な影響を与え、「失われた週末」や「サンセット大通り」など後の傑作を生み出すに至って大変重要なターニングポイントとなりました。
人妻と共謀し保険金殺人に加担していく外交員を描いたフィルム・ノワール作。
事後の回想から始まり、顛末がテンポ良く語られる方式は取り返しのつかぬ主人公の過ちを大いに増幅させてくれます。
あらゆる場面においても緊迫感を欠かさず、観る者を飽きさせない演出には唸らさせるし、
山場の救いのなさと切なさはひとしおであります。
そしてラストはいかにもチャンドラーらしい粋な演出が行き届いており、ハードボイルドな男の美学と共に煙草の薫煙がスクリーン一帯を占めるのです。