MOCO

鳥のMOCOのレビュー・感想・評価

(1963年製作の映画)
2.0
「ひとまず鳥の来襲は落ち着きましたが被害はボデガ・ベイを中心に近隣のセバストポル、サンタ・ローザにも広がっています。
 ボデガ・ベイは現在立入禁止です。住民の殆どは避難しましたが一部の住民が逃げ遅れ孤立しています。
鳥は数回に渡り波状攻撃をしかけています。原因についてはまだ解っていません」(ラジオニュース)


 Wikipediaによると日本での興行成績は「サイコ」よりも上だったようです。
 当時の日本人にとってミステリアスな多重人格の話よりも身近な鳥たちが襲って来る話の方が分かりやすかったのでしょうか?
 

 メラニー・ダニエルズ(ティッピ・ヘドレン)は、客として訪れていたサンフランシスコのペットショップで、歳の離れた妹の11歳の誕生日プレゼントのラブバード(インコの別称)を探しにきたミッチ・ブレナー弁護士(ロッド・テイラー)と出会います。

 会話を交わしたメラニーはミッチが気になり、ラブバードを取り寄せミッチの妹のためにラブバードを届ける振りをしてカリフォルニア州の小さな港町ボデガ・ベイにあるミッチの家をこっそり訪れるのですが、帰りボートの上で一羽のカモメに襲われ額に怪我を負います。

 メラニーはミッチに夕食に招かれ、妹のキャシー(ヴェロニカ・カートライト)と母親のリディア(ジェシカ・タンディ)と食事をすることにします。
 その夜 メラニーは、たまたま知り合った小学校教師アニー・ヘイワース(スザンヌ・プレシェット)の家に泊めてもらいます。

 翌日のキャシーの誕生パーティで子供たちがカモメの大群に襲われ。町のレストランで状況を話しても信じてもらえず、やきもきしていると目の前のセルフスタンドで給油中の男が鳥に襲われスタンドが大火災になる事故がおきます。

 その夜、ミッチの家には大量のスズメが暖炉の煙突から飛び込んで大パニックになり、さらに翌日、近所の住人を訪ねたリディアが住人が鳥に目を潰され死んでいるのを発見し正気を失います。

 一羽の鳥が電線に止まればたちまち何十羽、何百羽の群れとなり何かをきっかけに大群が襲うようになり、やがて町中がパニックになり、いたるところで鳥に襲われた死者が出始め、キャッシーを保護していたアニーも犠牲者になってしまいます。

 メラニーはミッチの家族とミッチの家に立て籠り、ミッチの手で窓ガラスや暖炉は板を打ち付けられ万全の対策をたてるのですが鳥たちはその板さえも破り、ガラスを割り部屋に侵入してきます。
 メラニーは屋根を突き破り部屋に潜んでいた鳥の大群に襲われミッチに助けられるものの精神のバランスを失います。

  ミッチは鳥たちが落ち着いたのを見計らい、家を出てメラニーの車で町を出ようします。
 メラニーの車にたどり着くとカーラジオを点けニュースを聞き情報を手に入れると、玄関に車を横付けし足の踏み場もないくらい家の周りをびっしりと取り囲む鳥たちを嚇かさないように車にメラニーと家族を誘導し静かに車を発車します。

 事件は小さな港町だけではなく近隣の町まで・・・。
 そう、冒頭のペットショップのあるサンフランシスコの空には既にカモメの大群が・・・。


『鳥』は子供の頃観た記憶の通り特撮が部分的にお粗末な映画でしたが、それでも当時の技術ではこれが限界だったのでしょう、身近な動物が襲ってくる動物パニック映画の「はしり」であることは間違いなく、ヒッチコックの映画だからこそ追随する作品が生まれ、時代と共に映像がよりリアルになっていったのでしょう。

 特に紐ついていくエピソードもなく、出会いのエピソードもアニーがミッチの元恋人であることも意味はなくストーリーとしては今一つの印象でした。

 普通なら待機する教室からわざわざ小走りで逃げ出し鳥に襲われに行く子供たちと、その脱出提案に誰も反対しない大人。流れるガソリンが道路をまたぐほど流れても放置する男たちと足元のガソリンの臭いにも気がつかないでマッチを擦って焼け死ぬ男、電話ボックスで大人しくしていればいいのに何度も扉を開けて鳥に襲われるメラニー。意味もなく独りで2階に上がり鳥に襲われるメラニー・・・随所にあり得ない演出があり、なぜ鳥たちが襲ってくるのか?この後この現象は解消するのか?世界に広がって行くのか?・・・「いつかこんな日が来るかも知れません。こうなってはもう手がつけられません。あとは想像にお任せします・・・」で良かった時代だったのかもしれないのですが、何も教えてくれないままのエンディングは消化不良です。
 日本での興行成績が「サイコ」よりも上というのは信じ難く、何らかの理由でメディアに踊らされたヒッチコック神話?だったのでしょうか?


 ブルーレイで観たのですが、お金持ちそうに見えるメラニーが乗るアストンマーチンDB2/4の左側面の色ムラやらドアの色が違うことやフェンダーの凹みがやたら目だって、撮影費浮かすためにこんなの使ったのかな?って気になってしょうがありませんでした。
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