安堵霊タラコフスキー

愛の残像の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

愛の残像(2008年製作の映画)
4.5
フィリップ・ガレルの映画はやはりモノクロの方が照明とか印象的に見える場合が多いけど、この作品は特に照明や撮影に秀でた作品のように思う。

ガレルの作品はモノクロでもヌーヴェルヴァーグ的で俗っぽい撮り方のものが多かったりするが、この作品では写真家の映画でもある為かジャック・ベッケルのように整った撮り方がされて、それが他の作品よりも美しさを際立たせているように思う。

加えて終盤には超現実的で幽玄なシーンもよく見られ、それが悲劇的な結末を助長させてもいるけど、悲劇的ながらそこに妖しい美しさが感じられるのが実に魅力的だった。

ジャック・リヴェット作品やストローブ=ユイレのいくつかの作品で撮影監督を務めたウィリアム・リュプチャンスキーが携わった最後の長編劇映画となったが、それに相応しい見事な撮影美が堪能できる作品だった。