滝和也

裸の町の滝和也のレビュー・感想・評価

裸の町(1948年製作の映画)
4.2
初めて摩天楼に
飛び出したカメラが
刑事たちを追う!

セミ・ドキュメンタリー
形式で語られる
これぞ元祖刑事ドラマ!

「裸の町」

スタジオで撮影されるのが当たり前だった映画がニューヨークと言う大都会に飛び出し、オール・ロケーションで撮影された革命的作品。こちらは30年程前から探していて、中々出会えなかった作品。要約廉価版が発売され購入しました(^^)

大都会ニューヨーク。今日も人で溢れるその街で事件は起こる。人々が眠りについた頃、1人の女性が殺害された。大都会ニューヨークを夢見たその女性デクスターに何があったのか。新米刑事ジミーと老警部補ダンはその捜査に当たる。その真相は意外な所にあった…。

昔見た太陽にほえろ!等の刑事ドラマが思い起こされるオーソドックスな造り。次々と刑事モノあるあるが登場します(^^)それは当然でこちらが元祖ですからね(^^) 犯人を足で探していくこのスタイル。事実を地道に積み上げて犯人に至るフーダニットである、ミステリー。そして犯人との攻防を描くサスペンス・アクション。テンポが圧倒的に良くて面白く、一気に見る事ができました(^^)どのシチュエーションもお手本の如く、現代の刑事モノに活かされています。

都会の片隅に生きる人間が、金や名誉を求め、荒み、変わっていく。そして犯罪に走ると言う、今ではありがちとなったテーマを恐らく最初に描ききった作品でもあるのでしょう。そのためには、監督のジュールス・ダッシンには、街を描くこと、舞台としてのリアリティを高めるためにも必須条件だったのかも知れません。(その逆かもしれませんが…)

在りし日の生活感の溢れるニューヨークの街並み、人々がオールロケで生き生きと描き出され、臨場感を煽ります。特に印象的なのはウィリアムズバーグ橋。殺害された女性の両親に事情を聞くシーンの背景に映る夕闇の美しい情景。悲しい彼女の事情と対比された名シーン。そしてラストの活劇の舞台となる場所でもあり、その高所から撮影された摩天楼が主題を表していて、また良いんです(^^)

老警部補ダンにバリー・フィッツジェラルド。渋い役者さんで部下たちの聞き込みから得た情報から犯人を追い込む、太陽にほえろなら、山さんと課長を合わせた役柄。取調べシーンは正にそれです。(カツ丼はとりませんよ(笑))そして新米刑事はドン・テイラー。この方の存在は大きい(^^) 新米さんあるあるが出ますからね。ちょっとイメージがクリス・エヴァンスに似ているハンサムガイで、犯人を追っかけるシーンがカッコイイんです。

これは長年期待していただけありました。臨場感、実際に起こった事件を元にしただけあってリアリティがあり、現代に至っては、刑事モノが好きな方には、あるあるも楽しめる傑作だと思います(^^) オススメです(^^)
滝和也

滝和也