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王妃マルゴのRのレビュー・感想・評価

王妃マルゴ(1994年製作の映画)
4.5
美男美女の血まみれパラダイス!!! すごい!!! 濃厚!!! 今回で見るの4回目やけど、毎度毎度お腹いっぱいな上、消化に悪い、けど好き! 全編豪華絢爛な衣装とセットがすごいのに加えて、画面に出てくる人びとの大半が美男美女! こんなに徹底してる映画はじめてみたかも。しかも皆さんをかなり近いアップで追い続ける。なのでどのシーンも必ず誰かに釘づけになってしまう。脇役すらガン見。美しい…。そんな美のトップを行くのが主人公の王妃マルゴ。16世紀カトリック教国フランスの王シャルル9世の妹で、隣国ナバラで拡大しつつあるプロテスタント勢力との調和を図るため、ナバラ王アンリと政略結婚させられる。彼女には元々美男のセックスフレンドがいて、壮麗なる結婚式の夜、みすぼらしいプロテスタントの夫は放って愛人とファックしよう! と企てていたにも関わらず袖にされ、きぃぃぃぃ! ファックなしで今夜は眠れない!と仮面をつけて街へハンティングに繰り出す。で、目ぼしい男を見つけて即ファック! すばらしい!!! そんな淫乱な妖婦を官能的に演じるのがイザベルアジャーニ。まぁ出て来た最初から性格の悪そうなこと! 結婚式に集まったイケメンの群れをお付きの女と品定めする時のイヤーな感じ! エロい視線! すばらしい! と、性的にはアニマルな彼女ですが、実は結構いい人だったりします。結婚式にはナバラから膨大な数のプロテスタントが祝いにやって来てて、結婚式後、宮殿内外でみんな楽しく乱行してるところ、突然カトリックたちによる虐殺が開始されます。サンバルテルミの虐殺であります。はだけた美男美女が血にまみれて殺されていく。美の殺戮地獄。剣がやわ肌にブスリと刺さる感じのエロス&タナトス! わーお。わーお。と思って見てると、さっきまで淫乱な悪女感丸出しだったマルゴも、その残忍さを見てカトリック精神が呼び覚まされたのか、虐殺はやめて! と必死に止めようとし、しかも無下に扱ってた夫を、殺されてしまう前にナバルに返してあげようと画策する。一方、実はすべてのイベントを背後で操っているのが、マルゴの母カトリーヌで、この人の演技が始終スゴイ迫力。狡猾で残忍。まるで深海魚のような顔立ち。彼女は心の中で、何としてでも長男を王座から下し、次男に就かせたい、そのためならどんな手段でも構わない、と思ってて、秘密裡におぞましい企みを実行していく。それによってまた、美が血にまみれ、散ってゆく。すばらしい! ただ、ふたつ出てくる毒ペロシーンはちょーっと分かりやすく演出されすぎて笑ってしまった。一方、マルゴはプロテスタントの夫をとりあえず形だけカトリックに改宗させて、様子を見ながら国外を逃亡させようとしながら、よほどハマったのか、結婚式の夜にハンティングしたむふふ美男とエロス三昧。正義でありながら淫縦であるとは、実にすばらしいことである! で、後半はすべてがドロドロの状態になっていき、滅びゆく者に残された美は最終的に外装のみとなる。泥沼の中で凛と煌めくマルゴのソウルは対照的に非常に美しい。最後の白いドレスにはちょっとウケてしまいましたが…。とっても複雑なストーリーにちょいちょい分かり易すぎな演出入れてくるところが、監督パトリスシェローという人の魅力なのかもしれない。あと、最初の数分見て、あ、この監督、絶対ゲイやわ、と思ってウィキ調べたらホンマにゲイやった。だって、冒頭いきなりカトリックとプロテスタントの男同士が裸で同じベッドにお休みになり、そこからこの二人は醜い争いを経て、敵同士の関係を超えた、不思議な愛を育みますねんで。演出も全体的にゲイゲイしいケバさと大仰なエレガンスがあるし、周りを見渡すとグッドルッキングガイズだらけ。ディーヴァワーシップ的存在としてイザベルアジャーニ。この監督とアルモドバルがゲイでなくて、誰がゲイであり得ましょう。このゲイさ加減が本作の最大の魅力かもしれない。さて、見るの4回目の今回は、そこそこ長くて濃厚なこの映画を、すごく短く感じました。これは面白い。是非また機会を作って見たいと思う。
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